2011年8月12日金曜日

暗黒の時代 戦前に生理休暇や産前産後休暇が勝ち取られた


山城貞治(みなさんへの通信60)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)

 この間、ブログへの投稿をいただきました。そこで少し参考にと思い書かせていただきます。

私もブログは、労働の安全衛生、とくに精神衛生がメインテーマとなっています。上記のような問題も、深刻な問題と思っております。それでは私のブログも、よろしくお願いします。 

府高労働安全衛生対策委員会では、多くの精神衛生(メンタルヘルス)を取り上げ聞きましたが、その一部を紹介します。

もう、一生懸命はやめよう、と言いたい

 まず、
「どうすれば過労自殺はなくなるのか」
という毎日新聞の記者の質問に対する川人博弁護士の意見
を毎日新聞から。

三つの大切なことがある。
 

仕事で失敗しても許容される職場、
 義理を欠いてもよい職場、
 そして、失業してもやっていける社会をつくることだ。


 超長時間、深夜労働が増え、労働者は
ゆとりを失っている。また、不況下でリストラが進行し、職場ストレスが増している。 
 人が減り、仕事が増え、責任もますます重くなった。
 中高年はリストラの対象にならないよう、以前にもまして企業に忠実に行動している。
  失業しても生活に困らないよう『セーフティー・ネット』を整備し、失業者が精神面でリラックスできる社会環境づくりを急ぐべきだ。

  そして、『もう、一生懸命はやめよう』と言いたい。

  『命をかけて』ではなく、『命を大切にして』働くことが、過労自殺をなくすことにつ ながる。 」


学校全体が、特別なカウンセラーという職業がいらないように変わらなければ

{京教組養護教員部編・石田一宏講演記録「感動の贈りものを光の中の子どもたちへー精神科外来からみた子どもの指導②ーより抜粋}

 子どもが病んでいるとしたら、これは身体でも病んでいるわけですから、まず心と同時に身体のことも統一してきちっとわかる人が子どもの健康の問題についてかかわるべきだと思います。
 子どもの心だけかかわる。
 なんて、そういう便利なことはできない。

 もし心の問題にかかわるとしても、学校全体が何か暗ァーくなっている時に、あのカウンセラーの所だけ明るいというんじゃ……これはおかしいです。
 私は学校全体が、そんな特別なカウンセラーという職業がいらないように変わらなければならないと思います。
 カウンセラーなんかを必要とするというのは、それだけ自分の学校が暗くなっているということを、自分で白状しているようなもんだと思います。

 養護教諭の先生方が今ここでがんばっているのは、暗くなった学校の問題を解決するためであって、「駆け込み寺」を存在させるためにがんばっているだけではないと思うんです。
自分なりの問題解決に到達する、それがカウンセリング
{東京社会医学研究センター機関誌「労働と医学」NO56「働くものの精神衛生」講演記録より一部抜粋}

  メンタルヘルスということばが非常に多くでています。
 だいたい共通しているのは、問題発見型なんです。
 そして、もしそこでなにか悩みごとがあれば、あるいは個人的な問題があれば、それでカウンセリングを受けるということになるのですね。
 カウンセリングというのは本来はどういうものかといいますと、私なら私、一人の人間がなにか解決したい問題を持って訪ねて、そしてそこで助言をしてもらう、あるいはその人に話を聞いてもらうことによって自分なりの問題解決に到達する、それがカウンセリングなんです。
 ……今職場でも、そういうメンタルヘルスについて誰か専門家を置けば、なにか解決するんではないかという期待は非常に高いんですけれど、そういうことは絶対あり得ないんです。
 ……現在盛んなのは、そういう心理学主義的なものの考え方が基本になっているとしたら、私たち労働者の立場で、いらいらしたり、ストレスを感じたり、こんな職場は嫌だよというような問題をどうとらえるか、そのポイントは……。

ストレスをを考える6点を考えてみて

第一に、人間の心理だけでものを考えるのでなくて、人間は心と体がいわば統一して存在するんだ、その心というものは身体が支えているんだというふうな観点をしっかり持たなければならないと思います。
第二に、時間のストレスこそ、最大のストレスです。
第三番目は、疲労には、肉体的疲労と精神的疲労の二つがあると言うことです。
第四番目は、今非常に大問題なのは、家庭生活や私生活が破壊されていることです。
第五番目には、家庭には次の世代の大人を育てるという機能があるわけです。ところが、子どもを育てる機能が、家庭の中で今非常に貧しくなっている。
第六番目には、女性と母性を守ることの大切さがあります。


心をいやし、ストレスによる疲れをとってくれる「安心感の場」。

 働くものの精神衛生というものを考えるときに、忘れてはならないキーワードは、超過密労働による「時間」のストレス問題、超過密労働の結果からおこる「疲労」、家庭でゆったりできる、友達とゆったりできる、心をいやし、ストレスによる疲れをとってくれる「安心感の場」。


産前・産後休暇も生理休暇も育児休暇もなかった時代

 私の祖母が教員をしていた時(1950年代)は、まともに育休制度すらなかった
 女性教員の問題も、考えなければいけませんね。 ご存じの通り、私の母親も教員でした。
産休・育休制度は当時からあったのですが、やはり普通に考えれば、期間は不十分なのですね。
 休養室などの基本的な条項も、学校であってもあまりできていないのですね。一応私の今の仕事も立ちっぱなしですが、妊娠教員が立ちっぱなしは問題ですね。一方、妊娠した時の代替え教職員の制度はある程度できており、私の母が常勤としての教諭をやめた後、その代替え教員で臨時に入ったこともあります。
なお、さらに昔、私の祖母が教員をしていた時(1950年代)は、まともに育休制度すらなかったそうです。
 労働時間ふくめ、とくに女性に関しては、労働条件の改善が強く求められます。

高校の授業の一部を紹介させていただきます。

 10年以上前から労働安全衛生を高校の授業で教えていました。その時の授業テキストの一部を紹介させていただきます。
生理休暇や産前産後の休暇が女性と男性労働者が
手を携えて勝ち取られてきた成果である事に生徒は感動

 戦前の女性労働者は、農業や機織りをのぞいて工場で働く若い未婚の紡績女工から看護婦、小学校、幼稚園の先生、産婆さん・お手伝いさん、バスガールなどとその働く場が増えてきたことがテキスト「健康で安全に働く」(文理閣注:現在改訂されて、健康で安全に働くための基礎で発行されている。)書かれている。
 しかし、戦前の家事労働は、今日では、考えられないほど大変であったことも明らかにされている。

長野県では女性教師たちが運動して、1908(明治41)年に
   長野県に「女教員妊娠規定」をつくらせた

次に、明治以来の女性の職業のひとつだった女性教師の労働について考えてみる。
                                            
 明治時代の日露戦争以降義務教育が延長されたことや学校に行ける生徒が増えたことによって、教師が不足した。
 1907(明治40)年の長野県では、4649の小学校教員(臨時も含む)がいた。
 そのうち1093人が女性教師だった。
 でも女性教師の約半数は、臨時教員 だった。そのため給料は男性教師の半分以下。
 生理休暇もない、母性保護に関する保障はなく、男性教師と同じように働くことが命じられているいた。

 1918(大正7年)の女性教師の訴えによると、

「起床5時半、お乳をつくり、小川でおむつの洗濯。7時20分登校、5時帰宅、それから子供の世話、子どもがつごうよく眠ってくれればその間にそうじ、夕食後縫い物等々で新聞もろくろく読めません。子どもが出来てから教育雑誌さえ十分読めなくなりました。」

と、学校における優秀な教師が、家庭では「ダメな主婦」になっていると自ら言わざるをえない状況であった。

 このため長野県では女性教師たちが運動して、1908(明治41)年に長野県に「女教員妊娠規定」をつくらせ、女性教師に産前産後の有給休暇2カ月 を認めさせている。

 すなわち、女性教師は、赤ちゃんを産む前や赤ちゃんを産んでからも、ほとんど休んでいなかったのである。

2011年8月11日木曜日

いのち・生きる権利・働く権利と人間そのものの尊厳を守り抜く


山城貞治(みなさんへの通信59)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その39)


母性保護か 女性保護か の政策論議の中から

労働安全衛生対策作成時、女性部から
(14)項では、「生理休暇」よりも「更年期障害」が問題になっている。
 更年期障害休暇が取れるよう、が優先事項ではないか。生理休暇は今の学校では、とてもとれそうでない。
(15)の産前産後休暇8週を短縮してとる若い先生が増えている。例えば、産後6週(労働基準法上は、本人の申し出があれば。)で学校に戻ってくる若い先生は、「休んでいたらとても学校のペースについて行けなくなる。」と言っているなどの意見が出された。
 その時、労働安全衛生政策アドバイザーとして参加した滋賀医大の先生から共に女性としての立場から次のような発言があった。
「母性保護を生後から死ぬまでの間で捉えていかなければならない。」
「更年期障害は、生理休暇を取っていたかどうかと大きく関わる。調査では、生理休暇を取れなかった女性ほど更年期障害がひどい、という結果が出ている。」
との説明があった。
 これに対して女性部から
「母性保護という言い方ではなく、女性保護ではないのか。」
という意見が出されたが、
「ILOでは、母性保護条約(Maternity Protection)母性保護と母性を理由とした差別の禁止を規定する、とされている。近年は、深夜業は男女とも禁止すべきという考えが出されているが、母性は単に子供を産むという狭義の意味ではありません。」
という説明があり、女性部も納得し、「労働安全衛生対策について」がつくられた。

母性保護アンケートをきっかけに女性部の取り組み進む

 府高女性部は、早速このことが全面的に取り上げられられ、府高女性部ニュース「秋桜」に次々と各職場の報告が掲載された。以下その当時の一部を掲載する。

「昨今、忙しさに紛れてからだの不調を訴えながらも受診できずに時間が過ぎてしまう、ということも多くなっています。
 同じ職場に働く仲間として『休んで、病院に行って来たら?』と声を掛け合うことが、お互いの健康を守る上で非常に大事になってきているのではないかと思わずにはいられません。
 母性保護アンケートをきっかけに、
 もう一度自分の健康、仲間の健康、職場環境をチェックしてみましょう。
 生理休暇の取得や勤務時間・持ち帰り仕事の実態などお互いの経験を交流し合う中で、職場の問題点や行使されないままになっている権利の状況などが明らかになっていくと思います。

女性部の取り組みの加速で 少なくない要求の実現

T高分会が9月に女性のための休養室設置をが実現。
                                          盛大な「休養室開き」を開き、休憩などで頻繁


 ここ数年来、女性部としての切実な要求であった“休養室”がついに実現しました。
 (1970年代には、茶室が休養室の代用として利用されていたとか。その後の人事異動で当時の様子を知っている教職員もいない中で、あらためて女性部として、本年度の活動方針の中に休養室確保を掲げて要求してきました。)
 7月の校長交渉の席上(分会役員が職場要求に基づいて管理職と交渉)校長は休養室の実現を確約し、9月になって事務部長が動き始めました。
 物置と化していた元宿直室を整理し、大掃除をし、バルサンを数回たき蛍光灯を新しいものと取り替え、畳の上敷きを張り替え、入口からの目隠し用に通販で衝立を購入(実は、これは事務室の施設担当者の手によってアッという間に整備されたのです。)
 座布団、コタツ、コタツ布団、扇風機、座卓等の備品も設置され立派な休養室が誕生しました。
 9月25日には盛大に「休養室開き」を開催し、その後は、体がしんどい時だけでなく、昼食後の休憩に、女性たちのおしゃべりにと頻繁に利用され、好評です。
 「労安法」では、使用者に“仰臥できる男女別休養室の設置”が義務づけられています。管理職は、この法律を遵守し、女性部の要求に誠実に対応してくれたと思います。
 
府教委の要項を知らせる校長とそれを放置する校長の落差

 また、府教委の「セクハラ防止要項」に対する投稿も「教職員のいのちと健康」に寄せられた。
   京都府教育委員会は1999年4月1日付けで「セクハラ防止要綱」を施行しました。
 早速、管理職が全文読み上げてその周知を図った学校があった、と聞くものの2か月たっても要綱が施行されたことも知らさせられていない職場があると聞いています。
 「セクハラ防止要綱」の内容と問題点を横に置いておくとしても,周知徹底する校長とそれを放置する校長の落差についての問題を先ず指摘しておかねなければならないでしょう。
 そこには府教委の怠慢な姿勢があると思うのは私だけでしょうか。

定義されていない
 府教委のセクハラ防止要綱にセクハラの本質も人権も

 以下、「セクハラ防止要綱」の問題点について述べてみたいと思います。
  第一番の問題は、要綱にはセクハラの本質がまったく欠落しているという点です。 セクハラが「女性への人権侵害である」点がまったく明らかにされていないのはどうしてでしょうか。
 人権といえば,「同和」を熱心に主張する府教委と管理職なのに、どうしたことか?と首を傾げざるを得ません。
 要綱には残念ながら「人権・権利」という文字はどこにもありません。これは驚くべきことです。
 セクハラとは何かの定義と説明がないのもひとしいからです。
  朝日新聞99.6.2の特集記事には、セクハラを受けた女性のナマの体験が紹介されています。
 身体の危険と恐怖を味わい、結果として退職をヨギなくされたケースが多数述べられています。
 
セクハラはいのち・生きる権利・働く権利と
 人間そのものの尊厳に対する冒涜

 セクハラは女性のいのち・生きる権利・働く権利と人間そのものの尊厳に対する冒涜なのであるということが読み手に伝わってきます。
 それに比べて府教委の「要綱」はセクハラに対する認識がきわめて低いと考え込まざるを得ません。
 みなさんはどう思われているでしょうか?

  そこで府教委がなぜ「要綱」を制定したのか?
その目的はなに?
と考えてみると「行政の確保・児童生徒の利益(権利ではない)の保護・職員の職務能率の発揮」でしかなく、行政遂行のために要綱を制定したことを隠していない(この要綱のモデルとなった人事院モデルも同じです。)ように思えます。
 「セクハラ防止は行政の遂行のための方策のひとつに過ぎない」としか考えられません。
 そこにはセクハラを受けた人の怒りや悲しみや人権に対する認識は一切登場して来ません。

教職員の労務管理の道具に
利用しようとしている行政当局の「目的」

 このことは「労働安全衛生」を道具に?に教職員の「いのちと健康」までも教職員の労務管理の道具に利用しようとしている行政当局の「目的」とあまりにも類似している、と思うのは私の考えすぎでしょうか?
  「要綱」制定の目的(要綱の第1)が以上のようなものだから、学校現場の責任者としての校長の責務(要綱の第3)が、「職員の能率が十分に発揮できる」ことが重点になってしまうのでしょう。ここまで考えてみると、もう要綱の限界が明らかとなります。
行政の責任を「みんな」にかぶせてしまって、「起こした本人」への責任だけを事前に想定

  第二番目の問題は、「セクハラ防止要綱」が「誰に対してどうしろ」と言っているかが分からない、ということがあります。 結論から先に書くと「(教職員)みんなで注意しましょう」という程度のものではないかということです。
 「要綱」は、<セクハラ発生にいたる教職員や子どもへの管理・統制の強化>について不問にしています。
 なぜ教職員間のセクハラが発生し、教職員の児童・生徒へのセクハラが生じていくのかについての原因らしきことについての言及は一切ありません。
 行政サイドに何も原因はないのでしょうか?
 これでは、行政に実に都合のいい効果を生むものではないでしょうか。
 セクハラ発生にいたる根本的な「原因」への言及のない「要綱」の姿勢は、結局行政の責任を「みんな」にかぶせてしまって、「起こした本人」への責任だけを事前に想定しているだけではないでしょうか。
 このことはケガや病気になった時に、労働安全衛生法などで明らかにされてきた事業者の「安全配慮義務」をどこかに隠して、「本人不注意論」で当局責任を逃げ回っている姿勢と同じではないですか。

「みんな(教職員)」が悪く「行政は悪くない」

  第三番目の問題は,そのために「要綱」は,(職場,事業所の)みんなに「意識」と「心がまえ」を強烈にアピールしていることです。 それは、簡単なことですませています。コトが起きた場合に,結局「みんな(教職員)」が悪く「行政は悪くない」ということを言いたいのでしょう。

行政の責任を巧妙に逃れるための「研修」
  「やらせ」の「研修会」は身につかない

 第四番目の問題は、そうは言っても行政の責任を巧妙に逃れるためには何かをしなければならないということになり、それは結局、「研修」である、となってしまっています。 古今東西,「やらせ」と言われる「研修会」ほど身につかないものはないでしょう。
 研修すれば、「研修した」という既成事実が積み上げられるだけです。
 コトを起こした場合は,「発生させた本人が悪く」,「管理職は『要綱』を説明したのに……」「研修したのに……」というの逃げ道を準備するだけだという考えは言い過ぎでしょうか。
 
自己保身の予防線を張ることにのみ
 エネルギーを発揮するが如きの愚劣な行為

 教職員が現職死亡した現場の校長が「自分はちゃんと医者に行けと言ってきたのに……」「転勤できて本人が喜んでいたのに……」と言い、病院に行く間も与えなかったことや強制異動に切々と訴えた教職員の訴えを門前払いしたことをひたすら隠し続け、自己保身の予防線を張ることにのみエネルギーを発揮するが如きの愚劣な行為に良く似ている。
 いいいえ、そのものとまったく同じ状況の立場と言っても言い過ぎではないでしょう。それだけ、深刻な状況が現にあります。

セクハラ発生を予防するなら教職員と児童・生徒への
    人権(諸権利)を完全に保障する姿勢に立べき

 第五番目の問題は、,学校という教育の場で発生する(した?)セクハラをまじめに研究して、その発生を予防するなら,教職員と児童・生徒への人権(諸権利)を完全に保障する姿勢に立べきでしょう。 今日の学校現場は、「管理運営規則」による教育行政(管理職)側からの教職員への「管理」の徹底(諸権利の抑圧・制限)と児童・生徒への「特別権力関係論」と言われる立場に立った「子どもは指導される側の人間」やガマン主義・根性主義の「ガマンも大切」などによる子どもや教職員への権利侵害の「デパート」状況をすぐにあらためることです。
「要綱」はここへの言及を意図的にしていません。
 お隣の大阪府教委のセクハラ防止問題での「手引き」(1999年3月26日)には、
「児童・生徒に対する教育……人権侵害を許さない姿勢を養う」
「『子どもの権利』に関わる教育、男女平等教育、性教育を計画的に実施する」
など、セクハラを権利侵害と捉えた立場での提起が文字として明らかにされています。
  みなさんのご意見をぜひお寄せ下さい。    

2011年8月9日火曜日

立ちっぱなしの教師の労働 妊娠した先生は休めない


山城貞治(みなさんへの通信58)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その38)


ホルモアルデヒドの除去問題など
数え切れない有害なものが存在する学校

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の
(12)学校における有害性のあるものや物理的性質(引火性、爆発性、揮発性など)、発ガン性(変異原性)、アレルギー、遺伝性毒性などの予防策(設備、装置、予防具など)と緊急対策を行わせる。有害物の基準は、日本産業衛生学会の許容濃度基準を尊重すること。
については、調査すればするほどあまりにも多くの問題があり、府立学校ではの課題はまだまだ不充分なものとなっている。
 ホルモアルデヒドの除去、アレルギー源の除去、生徒のトイレ掃除などを含めた薬物の問題、農業科、工業科などなどの有害物質問題やその保管。
 数え切れない問題がありながら少しずつ取り組まれたが、くり返すがこれらのほとんどすべては京都府・府教委がなしたことで、学校の責が問われることはなかったが、問題が起きるとすべて学校、学校長、関係教師の責任にされることがあまりにも多すぎた。

問題が生じれば府教委が責任をとらず
 学校・学校長・担任教師に責任をとらせる体質

 例えば、実験用の薬品庫があまりにも貧弱で厳重管理が出来ないため改善を要求していた。
せめて南京錠は改善して欲しい、と言う要求があったが、府教委は改善しなかった。
 ところが他府県で、学校の薬品庫から劇物が盗まれたと報道されたとたん府教委が府立学校を調査し、「南京錠だけで薬品を管理していた。」と教師の責任を問うなどの問題があり、その教師は異動させられたという問題があった。
 現場の安全上の問題には優先的に対応するという姿勢が府教委にはまったく見られなかったため多くの問題と多くの行動が必要であった。
 (12)の課題は、なかなか改善されなかったし、その前提には学習が必要とされた。

次の項目の取り組みを掲載したい。
  (14)人権無視の生理休暇届を改め、女性教職員が自由に生理休暇が取れるようにさせる。
 また生理休暇の必要性と女性教職員の健康との関係を明らかにし、生理休暇制度の充実を図らせる。
(15)妊娠した教職員には、妊娠が判明したときから代替え教職員を配置させる。
 また、管理職は、妊娠した教職員が安心して労働できる条件をつくるとともに生徒への協力・理解を率先して求めるようにする。
 妊娠障害、流産、死産が特に多い学校を公表させ、その原因と対策、今後の方向を明らかにさせる。


妊娠中の女子職員の業務軽減は 本当に軽減なの

(14)、(15)について変わった形で労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」に投稿があった。

:おたずねしますが、この学校には職員の「休養室」はあるのですか?
:ええ、形としては「ある」ことになっているようです。でも私も見たことはありません。
:どういうことですか?
:なにやらどっかにあるようなことを聞いています。ですが、そんなものでは使えないので実際には「無い」と思って下さい。
:わかりました。でも何か変な話ですね!
:その通りです。この問題は毎年の要求交渉でも分会から提起しています。昨年は管理職も「セコムが入るので、宿直の廃止に伴って宿直室が空くのでその辺が使えないかは検討してみる価値がある」と言っていたんです。ですが今は他の目的に使われています。
:それじゃやはり根本的に確保してもらわないといけないですね。
:その通りだと思います。
:それから、話は変わりますが、「服務規程」が変わったと聞いたのですが本当ですか?
:ええ、その通りです。一部がこの4月1日から変わりました。うちの管理職はまだ何も言っていませんが・・・
:かくすことでも無いでしょうに!
:うん・・・・・
:ところで、どこが変わったのですか?
:えーと、複写したものがあります。どうぞ!ようするに母性保護規定のところです。
:具体的には?
:例えば、妊娠中の女子職員の業務軽減などです。勤務時間中に専免扱いで休息がとれるようになりました。
:なるほど!それは良いことですね!
:良いことだとは思います。要求運動の一定の成果でもあります。ですがどうも手放しでは喜べないようです。
:どういうことですか?
:実際に女性の方に聞いてみたら、次のような返事というか、とまどいが返ってきました。
①「持ち時間等」の軽減が無い中で、いつそのような休息時間がとれるのだろう?
②ほとんどの職場に男女別の休養室がない中、どこで休息すればよいのだろう?
 ということです。
:なるほど言われる通りですね!これでは本当の業務軽減とは言えない!
:そうなんです。私もこれを聞いて全くその通りだと思いました。ようするに包括的な母性保護の観点が抜けて、「安上がり」に改良だけをしようとするようなものです。
:使えない制度を作っておきながら、「府としては十分な施策を講じて……」などと言われるのはいやですね。使えるものにして行く取り組みが大切ですね。
:その通りです。「使いたいのに使えない、形だけはある」というのが一番危険です。何か事故でもあったときに、使用者は責任逃れできますし、結局労働者の自己責任にされてしまうことにもなります。
:それはひどい話ですね。でもそうすると前の話にもどりますが、うちの休養室の問題も同じような話ですね!
:その通りです。今、京都府人事委員会立入調査について分会で質問し、管理職に回答を求めています。この学校が、どのような回答をしているのかも調べています。でも、いまだに回答すらないんです。使えない「休養室」を「休養室がある」と報告しているとしたら問題です。
:そうですね!まずはこれを見て下さい。

              1  2  3  4  5  6
 月曜日   通        ○     ○     ○
火曜日 通    ○   ○  ○             ○
水曜日   通       ○    ○      △           職員会議
木曜日  ○     ○    ○                   部会
金曜日 通  教科 ○      ○            ○      (注:教科は教科議のこと)
土曜日 ○            ○      通  ※    ※

:週の時間割ですね。ところで、「通」というのは何ですか?それから△の意味も教えて下さい。
:ええ、「通」というのは妊婦の通勤緩和です。通勤に1時間以上かかりますし、座れないことが多いんです。それで、少しでもしんどさが緩和されればと思って利用しています。それから△は土曜日の回復措置で入る授業です。
:なるほど。先生は持ち時間が17時間なのに△が入るので18時間授業をすることになるのですね。
:そうです。回復措置のおかげで窮屈になっています。18時間持ってHRもあればもっと窮屈です。
:しかしこうして見ると本当に、自由に休息がとれるという感じではありませんね!
:そうですね、毎日空き時間は1時間から2時間です。授業の準備が精一杯で、とても授業の課題を点検整理する暇がありません。自転車操業のような毎日です。
 こういうのもあります。これはある火曜日の行動記録です。

6:30 起床 7:40出勤  8:55到着 9:40 2限授業開始 12:30 4限授業終了
 13:25 生徒清掃時間指導  14:40 6限授業開始 15:30 6限授業終了
 15:40生徒指導会議  16:50 退出  18:00 保育園到着  19:00 帰宅

:うーん。空き時間を探すと。2限開始前、清掃前の昼休み、それと清掃から6限開始までの時間だけですね。
:見かけ上はそうですが、2限開始前はその日の午前中3連続授業の準備をしています。
:それはそうですね。でも1時間で3連続授業の準備をしなくてはいけない。:また、生徒部という関係で、昼休みは生徒に応対しながらの昼食です。
:そんなに生徒がたくさん来るのですか?
:クラブ活動の延長願い、紛失物のこと、自転車登録のことなどなど。
:なるほど。
:それと6限開始前も当然授業の準備は必要です。ですから、まともにゆっくりはできていません。
 この日はこれでも通勤緩和を30分しか取っていませんし、とりあえず昼食も昼休みに食べられました。ひどいときには昼食の暇がなくて、4限や5限の空き時間に摂るしかない日もあります。
:ますます、空き時間が無くなりますね。
:そうです。ですから、あのときに、「持ち時間軽減の無い中で、いつ休息を取れるのだろう?」と思ったのです。
:しかしそれにしても過酷な労働条件ですね。それで最近体調はいかがですか?
:お陰様で、いろいろお気遣い頂いています。でもさすがに、休息どころか一服する暇がないので、腰痛で困っています。特に通勤のしんどさと、連続した立ち仕事がつらいです。
:ひどいのですか?
:ええ今回は少し……。先日も、脚に痛みがきて、階段昇降に不都合をきたすようになり、我慢できずに通院しました。その日は学校も休ませてもらいました。
:それはそれは。
:担当の医師は、「とにかく空いている時間は「横」になること。休養室での安静が肝要」とのことでした。しかし、「休養室が無いし、その時間も取れない」と反論する私に、その医師も困惑した表情をしていました。
:担当の医師も、まさか職場に休養室が無いなんていうことはありえないという認識なのでしょうね!
:ええ、そんな感じでした。その病院は労災などでの理学療法もやっているところなのですが、そのような顔をされたのは余程常識外だったからでしょう。
 最後には「保健室でもいいですから・・・」とまで言われてしまいました。
:うーん……。
:せめて毎日の授業が2時間程度で、男女別で横臥できる休養室があればいいなあ。とつくづく思います。
:本当ですね。
:ええ。ただし今回の措置がまったくダメだと言っているのではありません。運動の成果という点もあります。ただ、これで終わりにせずに、ひとつの到達点として、真の業務軽減となるような、持ち時間減や休養室整備などのレベルにまで労働運動としての要求活動を高めて欲しいです。

2011年8月7日日曜日

えっ X線室がなぜ府立高校に 無資格で教師が操作できるなんて 府人事委員会から話し合いたいとの申し入れ


山城貞治(みなさんへの通信57)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その37)


こわいのは「不可知論」とあきらめと無知である
   との細川汀先生の指摘を受けて

  細川汀先生の

「わが国では依然として労働災害、職業病、産業公害、過労死(自殺)が多発している。これらの一つ一つの実態と原因・責任を現場で調査すれば必ずそれをなくする方策が見つかるはずである。こわいのは「不可知論」とあきらめと無知である。現場で調査することさえ困難で、この壁を打ち破るためにも労働者の協力が必要だった。」

という指摘は、府高労働安全衛生委員の胸に刻み込まれていた。
  JOC(ジェー・シー・オー)の「臨界事故」についてもその深刻な状況が理解されはじめた。

府立学校にX線装置が多くあった 
 
ところが、その年の1999年府立学校G高校のX線室の防御対策の不備とX線装置の取り扱いについて、府人事委員会が労働安全衛生法上から改善を指摘している事が判明した。。
 私たちはびっくりしてG高校の様子を調べようとしたが、すべて門前払いであり、スパーエリート高校をつくるとして府高組合員は全員異動させられていて様子を把握することも出来なかった。
  単なる改善指摘でいいのか、もっとキチンと指摘すべきではないか、と府人事委員会に申し入れたが、X装置はX線は微量なもので、これ以上指摘できない。
 空港の荷物検査のX線装置と同じでX線を照射は微量なものだから資格も不必要との返事であった。
 しかし、府立学校でのX線装置の取り扱いや防御対策の不備を指摘しているのだから、危険性があるはずだ、と府人事委員会とのやりとりがあった。
 さらによく調べて見ると少なくない府立学校理科教室などにX線装置があり、放置されていること。理科の教師でもそのようなものがある事すら知らなかったこと。古くなったので廃棄処分をしようにもその処理費用がないため学校で困っている事などが判明した。

岩手県の県立高校のX線被ばく事故から
  府教委に申し入れたが

 府人事委員会は、それ以上の対応が出来ない、としていたX線装置問題は、20001年に岩手県の県立高校でX線被ばく事故が起きた。
 以下その時の新聞記事の一部を紹介する。

<被ばく>指にX線 生徒重傷 岩手の県立高校で実験中に 2002年4月18 日
 岩手県北上市の県立K高校で、昨年11月、物理の授業中に担当の男性教諭が3年生の生徒計26人の指にX線を照射し、うち男子生徒1人の指3本が「急性放射線皮膚炎」にかかり、約1カ月のけがを負っていたことが、18日分かった。ほかの25人に異常はなかった。
 同校によると、昨年11月29日、「物理2」の授業で、封筒に入った硬貨をX線で透視する実験を行った。これで実験を終えるはずだったが、教諭の判断で希望する生徒の指にX線を数秒間照射し、骨格を見た。その際、教諭が映像モニターを調整したため、男子生徒だけ普通より長い約30秒間、X線を受けた。男子生徒は12月18日になって、指3本が黒ずんではれたと訴え、盛岡市の岩手医大で診察を受けた。

 府高労働安全衛生対策委員会では、微量であるとか、云々する前にX線装置が何のために府立学校におかれているのか、またその取り扱いや安全教育や安全対策が行われていないことを府教委に申し入れたが、府教委から明確な回答はなく課題を残したままになっている。
 理科教師の中では、撤去や改善などを要求し一定の対策がとられたが、この問題はひとつの学校だけで解決できないことは明らかであった。

府人事委員会から
 労働基準法・労働安全衛生法・船員法
       のことで話し合いたいと申し入れ

 このX線装置だけではなく、府高労働安全衛生対策委員会が出来て、さかんに府人事委員会への問い合わせが管理職から集中している事もあり、京都府人事委員会の要請があり、1999年10月府高本部・府高労働安全衛生対策委員会と京都府人事委員会との話し合いが行われた。
 以下、当時の記録の一部を再掲載する。

教師の時間外の労働時間などは
把握しにくい状況にあると府人事委委員会

1,労働時間、休憩・休息問題

 今春の労働基準法「改正」にともなう条例・規則改正で、休憩時間の分割付与を「許可制」から「届け出制」にしても良いことになったが、条例では、「いっせい付与」の原則を明記した。分割する場合も休憩時間の「自由利用」が前提となる。
 全国では、「届け出制」すら課していないところがある。労使の自主的協議に任せず行政が関与すべきだと内部で相当な論議をした。
 授業などの関係もあるが、学校現場を意識して規則制定した。常にチエックを心がけている。
 個別の問題も聞く。
 府立学校の教職員、特に教師の時間外の労働時間、週休二日制のまとめ取りなどは把握しにくい状況にある。
 実態把握にむけて府教委関係の調査事項については一番時間を割いてやっている。
 回復措置、教員の時間外労働、法的整備、土日の特勤の問題がある。
 回復措置問題で、現場の方が相談にこられたケースもあるが、部活の勤務上の位置づけについては、どういう点に問題があり、改善して行くのか……。

労働基準監督機関としての
第三者機関の立場から「事業場調査」をすすめている

2,立入調査としての「事業場調査」について
 人事委員会としては、交渉などで局長が回答している立場から、府立学校の勤務実態の把握を問題意識を持って行ってきた。
 労働基準監督機関としての第三者機関の立場から「事業場調査」をすすめているが、200ぐらいの事業場をすべて廻るわけにいかない。
 そのため毎年20の事業場から、実情調査を行っている。
 従来の立入調査の「書面調査」の様式は、今年度までとし、来年度は、様式を改める予定。
 「臨検」の仕組みについても考えて行きたい。
 「事業場調査」に分会が立ち会うことや労働組合の意見も聞けという要望があるが、この調査は、「事業者・使用者」に対して行うものと認識している。
 従来「事業場調査」の結果は、教職員課がある府教委管理部に知らせていたが、今年度から保健体育課のある府教委指導部にも知らせるようにしている。

書面を見てもウソが分かるのに なぜ放置するのか

  これらに対して、府高からは、

 府立学校への「事業場調査」や府立学校が毎年出す京都府人事委員会への「年次報告」には、書面を見ても明らかに同一府立校間で差異があることが分かり、「ウソ」の報告は分かるはずではないか。
 単に書面を受け取るだけでは、労働基準監督したことにはならない。
 各府立校は、京都府人事委員会の労働基準法・労働安全衛生法・船員法(注:水産科などで船舶を所有・使用しているため)の法違反がないかどうかの労働基準監督権行使を軽んじている傾向がある。
 またそれを許す結果になっているのではないか。
 「事業場調査」が行われた府立学校が二巡目でも同じ「指導・指摘」が行われている。
 これでは、自己満足的な調査でしか過ぎず、「指導・指摘」が改善されることになっていない。
 この際「改善命令」を出して指導するぐらいのことをやってもいいのではないか。
 他府県の人事委員会では、「予算措置を含めた改善指導」まで出しているではないか。

人事委員会は 積極的に「事業場調査」を公開すべき

 府教委や府立学校の管理職は、「指導・指摘」が労働基準法・労働安全衛生法・船員法の「法違反」であるということが分かっていない。
 現に、「事業場調査」の「指導・指摘」を各学校の管理職は、すべての教職員に知らせていないし、たとえ知らせても都合の悪いところは省略した一部分を「紹介」するだけだ。
 京都府人事委員会は、積極的に「事業場調査」を公開すべきだ。
 そういうことをしないから、教職員の中に自分たちの労働条件が正確に京都府人事委員会に報告されているかどうかの危惧が生まれているのだ。
「事業場調査」すら隠す傾向が、府教委や府立学校の管理職にはある。
などの点を京都府人事委員会に述べた。

情報公開の対象になるもの 
  府教委や管理職は「指摘事項」を教職員に知らすもの

 これに対して京都府人事委員会担当者としては、「事業場調査の指摘事項」などは京都府人事委員会の文章を読めば「法違反である」のは分かるはず。
 「指摘事項」は、情報公開の対象になるもので、手続きをすれば「指摘事項」はだれでも入手できる性質のものであるが、そんな手続きをしなくても府教委や管理職は「指摘事項」を教職員に知らすものだろう。
 「指摘」だけでなく「予算措置」を含めた「改善命令」を出せという要望は、要望として受け止める。
 事業場調査の「指導・指摘事項」は、1997(平成9)年度の調査の途中から「学校レベルで対応できるもの」と「府教委が全体として解決すべきもの」とに整理するなどしている。
 近畿各県の人事委員会の中でも学校に対する調査は比較すれば劣っていないし、京都は一番きめ細かいと思う等を述べました。

1970年代に府人事委員会は
府教委が安全衛生委員会を設置していないことを
   「指摘・指導」してきているが

 これに対して府高は、以下の意見を述べた。
 労働安全衛生体制の問題は、最近になって問題になったのではなく、1970年代に労働安全衛生法が成立して以降、京都府人事委員会が「立入調査」などで府教委が安全衛生委員会を設置していないことを「指摘・指導」してきた経過と事実を踏まえる必要があること。
 府教委との労働安全衛生問題の協議は2年の経過があるけれどたった3回の協議でしかなく、京都府人事委員会の言う「府教委と話している」ということにはとうてい当てはまらない。

最低条件をクリアーすればいいということは
   府人事委員会としても言えないはず

 府教委は、京都府人事委員会が「衛生委員会設置を言っているので……」ということを理由にしているが、労働安全衛生法・労働基準法の精神から言っても最低条件だけをクリアーしたらいい、ということにはならないだろう。
 またそのような最低条件をクリアーすればいいということは、労働基準監督の立場にある京都府人事委員会としても言えないはずだ。
 問題は、府教委が衛生委員会設置で事足りると言う姿勢に終始していること。
 肝心の教職員の労働安全衛生をすすめないことにある。
 衛生委員会などは、あくまでもひとつの手段でしかすぎないはずだ。
 学校単位の衛生委員会問題についても、先ほどの「事業場調査」に見られるように教職員に知らせるべきものすら知らせない、労働組合の要求を聞かない、分会や組合員を排除するという前近代的な学校運営がされているところに問題がある。
 労働組合の意見も取り入れて教職員の労働安全衛生を協議するというより労働組合の存在を否定する管理職が多すぎる。
 だから学校で、ということには問題が多い。
 労働安全衛生体制は責任体制の明確化が一番の基本である。
 事業者である京都府や府教委の責任が明らかにされないことが問題。

府教委は すべての責任を校長としているが

 府教委は、事業者は校長ということで自らの責任を校長だけにしようとしている。
 学校長が、教職員のいのちと健康のすべての責任をとれるのか。
 府教委は、学校現場のことまで「めんどう見切れない」かのような姿勢であるから労働安全衛生協議がまとまらない。
 その一方で、3月末まで衛生管理者が置かれていなかった府立校で、4月になったとたん衛生管理者が置かれていると届けられる現実がある。
 事務部長の気持ちひとつで、衛生管理者として届けるか、届けないかが判断されているのが現実。
 しかも、衛生管理者をおいているという届けを京都府人事委員会に出したことすら教職員に知らせていない。
 ある学校では、

「衛生管理者として、教職員に職務命令を出すから、衛生委員になれ」

と衛生管理者が教職員の上に立ち労働安全衛生を職務命令で自分の都合のよいようにすすめようとする動きがある。
 衛生管理者の資格を取っても、その責任を果たすことすら分かっていない管理職がある。
 労働安全衛生をめぐって話し合いや協議をすることは、府教委に幾度となく言っているが応じていないのが府教委である。
 私たちは、労働安全衛生協議で一致できる点からすすめようと主張している。

衛生委員会を設置さえすれば
労働安全衛生問題はこれでいいととはならない
と府人事委員会は明言

 これに対して京都府人事委員会担当者は、衛生委員会を設置さえすれば、労働安全衛生問題はこれでいいということにはならない。
 衛生管理者の選任については、選任報告が出されたことに対しては、指導することはしていない。
 学校ごとにばらつきがあり、衛生管理者の資格を持っていても業務でないということで、選任届をしていない人もいることも承知している。府教委全体でも、整理されていないことは承知している。と述べました。

労働基準監督機関の区別をきちんとし 役割を果たすべき
 
 これに対して府高としては、京都府人事委員会の労働基準監督と労働基準監督機関の区別をきちんとし、府教委などに指導してもらいたい。
 T養護学校の給食調理員さんの職業病で研究・検討もしてきた。労働基準監督官が丹波養護学校の給食調理現場に立入調査をして「改善指導」が出されたのに、府教委は調理人さんがかえって手間のかかるような「改善?」がなされている等と述べた。
 京都府人事委員会は、労働基準監督の区分の問題は承知している。
 T養護学校の問題は京都府人事委員会として状況を理解しそれなりの対応をした。労働基準監督官の改善指導なども知っていると述べました。

定期健康診断が不定期健康診断になっている

4、教職員の健康診断について

 話し合いの終わりに府高から、府教委や管理職は定期健康診断が適正に行われていると京都府人事委員会に報告しているが、本年1月に府教委の実施する定期健康診断で医療ミスがあった。
 これは、適正な定期健康診断が行われているということになるのか、という問題を提起した。
 これに対して、京都府人事委員会担当者は、定期健康診断の医療ミスについては、知らなかった、と答えた。
 府高は、適切な定期健康診断が行われていないことを放置しているのは問題。

 府教委は、学校保健法に基づいて教職員の定期健康診断を実施していると言い、京都府人事委員会には労働安全衛生法に基づく定期健康診断の実施を報告している。
 それぞれ法の目的や健康診断の目的が違うのだからそのことをきちんと理解をしなければならないのに、それが出来ていない。
 しかも定期健康診断が定期になっていない。
 府教委は、「都合により」というだけで毎年、定期に健康診断が行われていない。
 労働安全衛生法上の医師による健康診断、健康診断後の事後措置、特殊健康診断である頸肩腕障害・腰痛健康診断の実効のある事後措置など、教職員には法に基づく健康診断が「常識的」に行われていない。など具体的事実をあげて述べました。

教職員の健康診断は
知事部局の健康診断と比べても問題があると府人事委員会

 これに対して京都府人事委員会担当者からは、学校保健法による教職員の健康診断は、(医師の件、事後措置の件、産業医の件など)知事部局の健康診断と比べても問題がある。
労働安全衛生法上の関係は府教委にも話をしている、との話があった。

  府人事委員会の話は事実の部分と「隠している」ことが、その後、さらに明らかになる。
 それは、府人事委員会が府人事委員会の労働基準法・労働安全衛生法・船員法の労働基準監督機関としての対応などの文章は、情報公開の対象になるもので、手続きをすればはだれでも入手できる性質のものである事を府高本部・府高労働安全衛生対策委員会が知ったからである。

2011年8月5日金曜日

強い放射線や中性子が出る〔臨界状態〕が夜中までつづくというわが国最大の原子力関係事故 安全対策の基本的な考え方としくみを変えさせなければ 事故や災害はとぎれることなく再発する


山城貞治(みなさんへの通信56)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その36)


 東海村JCO(ジェー・シー・オー)の「臨界事故」については、府高労働安全衛生対策委員会として日本での初めての「臨界事故」として重視し、労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」1999年11月にも細川汀先生に投稿していただいていたので、再録させていただく。

わが国はじめての臨界事故の発生

 去る(注:1999年)9月30日、午前10時35分、茨城県東海村にある住友金属鉱山の子会社「ジェー・シー・オー」核燃料八酸化ウランの精製工場転換試験棟の沈殿槽に、制限値の7倍もの量のウランを投入したところ青い火が工場内を走った。全棟に非常を告げるベルが鳴りひびき従業員は戸外に飛び出した。
 わが国はじめての臨界事故が発生したのである。

事故発生から10時間半も経過して
       事故の重大性を知った政府

 ウランの核分裂が連続し、強い放射線や中性子が出る〔臨界状態〕が夜中までつづくという、わが国最大の原子力関係事故(国際評価尺度レベル4)になった。
 現場にいた3人は大量の被曝をうけて(最大20シーベルトの被曝と推定されている)倒れた。そのうち2人はいまも重症である。
 
 会社は救急車を呼んだが、事故の内容をかくし「てんかん」と通知したために、防護服を持たずに出動した救急隊員も被爆した。
 会社の製造部長は事故発生10分後に臨界事故であることを察知したが、数十分おくれて村や県に報告した。
 この間にも放射線や中性子は付近に拡散していた。
 政府が事の重大さに驚き対策本部を作ったのは午後9時、事故発生から10時間半も経過していた。
 政府が半径10キロメートル以内の住民32万人の屋内待避やJR運行の見合せを指示したのが午後10時半。
 遠くへの避難の態勢もなく、その時期もすでに失していた。
 避難時すでに多くの付近住民は許容量をこえた放射線や中性子線を浴びたことが証明されている。
 臨界は約17時間続き20時間で終息したが、この間どれだけの住民が被曝したか正確には把握されていない。

「臨界になることを想定していなかった」と
     作業者の「単純ミス」としたJCO

 事故を起こした「ジェー・シー・オー」は「臨界になることを想定していなかったので、臨界状態を未然に抑える装置の導入や、いざという時の対策は考えたことがない」と言い、原因は正常の手順を飛ばし、独自に作った手順さえ変更したやりかたにより、ステンレスのバケツを使って大量のウランを沈殿槽に入れてかきまぜた作業者の「単純ミス」のせいにした。
 また、官房長官も

「予想もしない事故で、アメリカやロシアに聞かないと対策は分からない」

と話した。
 科学技術庁も安全委員会も、かなり以前から行われていた手順の無断変更もバケツの使用もチェックしていなかった。

どれほど危険な仕事をしているかも会社は教えていなかった

 わが国には今日まで原子力防災法もない。
 作業者は作業主任の資格もなく、安全教育も行われていなかった。
 法規で定められた被曝測定用のフィルム・バッチもっけていなかった。
 おそらく自分がどれほど危険な仕事をしているかも会社は教えていなかったのであろう。
 現場の労働者は「臨界」のことばも知らなかったと言われる。
 
 深夜、沈殿槫の水抜きに従事させられた労働者も十分な防禦対策がなく、全員がかなりの被曝を受けた。
 この会社ではここ数年きびしいリストラで3年間に、1人当たりの生産量が年間10トンに倍増していたから、あまり知識や経験のない作業者がいたのだろう。
 東海村をはじめ多くの原子力施設の周辺では、いざというときの対策としての避難訓練やヨード剤の配布が必要とされているのに、住民の不安が高まるという理由で行われていなかった。

 労働者に危険を知らさないのは
                  原子力産業だけのことではない

 また、阪神大震災のとき欠陥を指摘されていた危機管理体制が少しも改善されていなかったことも、改めておどろかされた。

 コスト下げと納期の督促、人べらしのためこのようなズサンな作業が日常化していたと考えられる。
 しかも親会社は

「あれは子会社のやったこと」

と自分の責任をくりかえし否定した。
 政府は被曝者を189名と公表している(10月末日)が、おそらくその数値は増えるであろうし、また慢性的な影響やガン、白血病があらわれる危険性は多い。
 これらに対するフォローや補償の態勢も確立していない。
 「こんなことは夢にも思わなかった」
 「こんなことが起こることは知らなかった」
 労災職業病が起こるとき、会社や政府のせりふとして、今まで何回聞かされたことであろうか。
 これはただ原子力産業だけのことではない。
 多くの労働者が自分の仕事やまわりの危険についてほとんど教えられていない。
 会社もまた知らさない方がよいとしてかくしている。


変えさせなければ 
すべての企業の安全対策の基本的な考え方としくみを

 すべての企業の安全対策の基本的な考え方としくみを変えさせなければ、人々のいのちと健康は守られない。

 今回の原子力災害が改めて私たちに教えたことは、
 
第一に、企業(業界)や政府がずっと言いつづけたような「絶対に安全だ」「事故はありえない」という「神話」は成立しないことである。

 その主張は予防対策に金をかけたくないために行われている。
 そのために、生産現場では信じられないような危険な作業が平気で行われることになる。
 「危険職場」とされているところではとても起きないような。
 JCOは「臨界事故を防止する対策を講じており、臨界事故に対する考慮は要しない」という事業変更申請書を出し、科学技術庁や原子力委員会はこれをうのみしていた。
 「もんじゅ」や再処理工場のぱあいも、動燃が「絶対に起こらない」と説明していた火災や爆発が起きた。

危険な仕事をしているかをかくす体質が強い企業や政府

 第二に、企業や政府はそこで働く人たちや付近の住民にどのような危険な仕事をしているかをかくす体質が強いことである。

 「それを言うと働くものがいない」
 「住民がパニックにおちいる」

がかれらの言い分である。
 労働者や住民はそれを知る権利があるが、企業は「企業秘密」の名の下にそれを拒む。
 JCOは臨界反応を起こした沈殿槽の写真を10月1日に撮影していたのに4日間もかくしていた。
 「もんじゅ」事故でもナトリウムが漏れた配管をわざとかくしていた。

利潤や効率を第一に優先させて
  事故の原因や責任をあいまいに

 第三に、企業は労働者や住民の生命と健康を口にしながら、利潤や効率を第一に優先させていることである。

 最近、山陽新幹線をはじめ多くのJRトンネル内や橋げたのコンクリート塊の落下事故が発生している。
 99年6月、福岡トンネルでのコンクリート塊の落下は直接車輌を破損するものであったが、JRはトンネル表面での点検修理を行っただけで8月に
「今後10年間は絶対安全で心配いらない」
と宣言した。
 それから2ヵ月も経過していない10月9日、北九州トンネルで重さ226㎏の大きなコンクリート塊が線路に落下した。
 会社は先に出した「安全宣言」について
「あれは前回修理した所だけの話だ」
と弁解をしたが、実は7月に漏水やひびわれの異常を認めた場所であった。
 会見した記者に追及されて、社長は
「今後落下の可能性は否定できない。100%の安全はない」
と宣言を撤回した。
 あいつぐ落下の原因が、専門家によってコンクリート材料の海砂利用や効率優先の手抜き突貫工事にあることを指摘されているにもかかわらず、その抜本的改修をおそれて、あくまで事故の原因や責任をあいまいにしているのである。

事故や災害はとぎれることなく再発する
 会社・政府の原子力政策に
最大の社会的責任を明らかにしないかぎり

 今回の原子力災害は、会社が製造の期限と増加におわれ、効率と人べらしをすすめるあまり安全施設のない作業場で危険な作業をさせたところに原因がある。
 同時に、このことを認可ないし見逃していた科学技術庁と原子力委員会、そしてそれをバックアップした政府の原子力政策に最大の社会的責任がある。
 このことを明らかにしないかぎり、事故や災害はとぎれることなく再発するであろう。

絶対忘れてならない
鉱内に閉じこめられた労働者のいのちより
夕張炭鉱の保存を優先するための注水した社長を

 1963年から65年にかけて、三池・夕張炭鉱の大災害が続いたとき、それらが政府の石炭から石油へのエネルギー政策の下での安全経費の切り下げと人べらし、労働条件と労働者の権利の剥奪から起こっており、その原因と責任を明らかにしなければ災害が多発するであろうと私は警告した。
 そのとおりに次々と災害はおこり、82年に夕張新鉱でも80人をこえる死傷者が出た。
 このとき鉱内に閉じこめられた労働者のいのちよりも、炭鉱の保存を優先するための注水を社長が提案して家族だけでなく全国の怒りをかった。

恐ろしい「不可知論」とあきらめと無知

 今回の原子力災害やコンクリート塊落下は、わが国の原子力政策や新幹線政策の根源に触れるものである以上、労働者・住民のいのちと健廉を優先するという見方から根本的に見直す必要がある。
 そのことをうやむやにして若干の手直しだけで既定の路線を進めるなら、このような事故・災害が遠からずくりかえされるであろうことは明白である。

 「労働者のための労働衛生」を目標に40年間、努力してきた私にとって、くりかえしくりかえし言い続けたことは多い。
 にもかかわらず、わが国では依然として労働災害、職業病、産業公害、過労死(自殺)が多発している。
 これらの一つ一つの実態と原因・責任を現場で調査すれば必ずそれをなくする方策が見つかるはずである。

 こわいのは「不可知論」とあきらめと無知である。

 現場で調査することさえ困難で、この壁を打ち破るためにも労働者の協力が必要だった。
 働くもののいのちと健康を優先させることは今日の社会ではきわめて困難である。

 放射線障害 
生物に電離作用を起こして障害を起こすものに、アルファ線、べータ線、中性子線、ガンマ線などがある。
 一度に大量を被ばくすると吐気・脱力感・紅斑・白血球減少・発熱・下痢・脱毛などがおこる。
 慢性的には、皮ふの荒れやただれ、白血球の減少や貧血、目の障害、さまざまな部位のがんがおこることがある。
 ともに免疫が低下するので感染症にかかりやすい。

2011年8月2日火曜日

崩れた「原子力安全神話」 学校教育でも原子力についての危険性、とくに放射能、放射線について知識を


山城貞治(みなさんへの通信55)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その35)


いのちと健康を考えれば
 その費用は計り知れないほど少ないのに

 教職員や生徒のための安全対策には、費用がかかる。しかし、いのちと健康を考えればその費用は計り知れないほど少ない。
 行政は、いつもいのちが失われて社会問題化すると安全対策を講じる。
 しかし、府立学校のアスベスト問題に見られるように府教委は、安全問題が社会問題化しないようにと必死で、安全対策への改善を指摘する人々への「いやがらせ」「報復」「見せしめ」などが現れたが、「アスベスト撤去」の断固たる姿勢に一応認め、内々に京都府とともに大量のアスベストが使用されていた府立学校の校舎の建て替え行っている。
 このことは、1986(昭和61)年6月京都府議会で誠実に事態を受けとめ、安全対策を行っていれば、京都府や府教委の言う「お金をかけなくてすむ」ことが出来たはずである。
 一時的にごまかし、問題の本質を解決しない行政は、あとあと膨大な出費が必要となることを教訓化しようとはしない。
  また、学校は中小大規模の安全対策でも独自に対策は打てず、京都府・府教委がすべての権限を持っている事が明らかになった。

校長は事業者になり得ない 

HOSOKAWA ADVICE  細川汀氏は、京都府高機関紙労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」を読み、1998年5月に、

 責任体制の明確化が難しい日本の行政機構の研究が必要なようですね。
 (労働安全衛生法の)「事業所」については、そこの責任者が「金を出す権限がないから出来ない」という人であってはならない、というのが原則ですから、校長ではないでしょう。
 その上で、「校長の責任」を別に規定しなければならないでしょう。(予防・増悪~再発防止・手当・救急の責任についての)
 ねばり強く討議することを惜しまないようにして下さい。

生徒・教職員・学校の安全対策のほとんどは行政にある

 アスベスト問題では、まさにこのことが如実に現れた。
 都道府県立学校では、一定の範囲の予算が各学校に配分されるが、その執行権限は校長になく、事務の出納責任者(京都府立高校では事務部長)であるが、中小大規模の費用になると京都府にその権限がある。
 市町村立の義務教育学校では、予算執行権限は学校にはまったくなく市町村の行政にある。
 これらの事を充分知らないと労働安全衛生上も安全対策上も充分な手立てが打てない。

 2000年になると府高労働安全衛生の取り組みも反映して京都府・府教委は学校の安全対策を無視できないようになり、次のような報告が寄せられてきた。

化学実験における安全対策の一定の改善から広がる確信

K高校にも下方換気扇実現         K高校分会

 K高校化学実験室には上方換気扇は南側、北側、2箇所ずつ4つの換気扇が設置されていますが、下方換気扇がありませんでした。
 化学実験においてはやむなく有害(毒)な気体も発生し、その場で働く教職員の健康はもとより、生徒の健康を守るためにも是非下方換気扇が必要と、1997年度より分会で要求していました。
 管理職は、当初から必要性は認めるが予算的な措置がとれないということでした。しかし、1999年2学期末、2箇所(理想は4箇所)設置が実現しました。
 このことは、分会での要求と同時に、府高の「教職員の労働安全衛生を要求する取り組み」があったればこそと痛感しています。
 高校の化学実験では扱う量は少ないのですが、有害(毒)な薬品を多数扱い、接しています。今後、このことも課題となります。 

府立学校において「放射能被爆の可能性の問題」が

  しかし、府立学校において「放射能被爆の可能性の問題」がこの段階では分かっていなかった。
 だが、「教職員のいのちと健康」2000年1月大阪労働者安全センター北口修造に特別寄稿を寄せていただいていた。以下その全文を再転載する。

JOC「臨界事故」を二度と引き起こさないためにも
学校に安全対策と安全教育を 
  -東海村・JOC-「臨界事故」現地調査を終えて ー


 19999年12月6日(月)東海村「臨界事故」現地調査に行きました。
 調査の前日、レクチャーを受けました。率直に言って今回の事故を通じ、初めて原子力に関する法制度を知るにいたりました。
 その一例として、
(1)原子力基本法(21条)、
(2)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(83条)、
(3)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(59条)です。

22年もおくれた原子力安全「チエック機能」

 
原子力基本法の施行日と同時に、日本原子力委員会が発足されたのは1956年1月1日、同年6月に日本原子力研究所が発足。
 建前上、審査、チェック機能をもっ原子力安全委員会は1978年10月で、22年後になってからの発足です。

 規制に関する法律条項では、核燃料取扱主任者の選任く30日以内内閣総理大臣に届け出/罰則)と核物質防護管理者の選任を定めています。
 取扱主任者の核燃料物質の取扱いに関して保安の監督を任務とし、科学技術庁官の行なう核燃料取扱主任者試験に合格し、免状を交付された者から選任することになっています。
 防護管理者の資格要件は特定核燃料物質の防護に関する業務を統一的に管理することを任務とし、特定核燃料物質の取扱等 の知識等について総理府令の定める要件を備える者のうちから選任することになっています。
 これらの選任は、核燃料の「製錬」「加工」「再処理」の事業者に義務づけられています。
 JCO事業所では、これらの選任はどうであったかについては明白されていませんし、主任者の責任コメントは未だ報道はされていません。
 さらに関連法規として、被害者の損害賠償に関して、
(1)原子力損害の賠償に関する法律(26条/1961年)、
(2)原子力損害賠償補償契約に関する法律があります。
 事業者に保険契約を義務づけ、補償・賠償の限度を上回る事態が生じた時は政府が補償することになっています。保険契約金は2000年度から600億円(現行300億円)に引き上げられるそうです。

 原子力「安全神話」・想定外と 東海村 JOC「臨界事故」
 事故原因は リストラ・ 安全教育の皆無など


 今回の臨界事故について市川先生(明治大学講師.元日本原子力研究所研究員)が指摘されましたが、政府関係機関が「臨界」を想定していなかったことにあり、「安全神話論」のもとで、作業に従事する者にたいしてなんら核燃料の知識はもとより、安全教育が施されていなかったことが言えるでしょう。
 
市川先生は、今回の事故の背景を

①JOC社内のリストラの影響
②20%濃縮ウランを処理するための施設の設置に関わる安全審査において、具体的な審査基準がなく一般的指針により審査がなされた。
③誤動作があっても臨界事故が起こらないようにするとの指針に反して設置変更が許可されていた。
④臨界事故警報装置や中性子測定モニターなど臨界事故発生時の対応設備がないまま操業が許可されている。
⑤原子力は安全だという根拠のない思いこみ(安全神話)など
多くの問題と改善を指摘されていました。

原子力作業は 無資格で行えるなんて……

 
現地で原研労組の方々とも交流しましたが、「作業者の資格は何もない」(花島委員長)と指摘され、資格免許制度の必要性を提起されていました。

原子力「安全神話」と「臨界事故」問題に
    対応できない労働安全衛生法


 橋本さん(全労働本部副委員長)のレクチャーは小生と同様の見解でした。
 労働安全衛生法を今回の臨界事故に当てはめようとする条項は、安全衛生管理体制に係わる条項しかありません。
 電離放射線障害防止規則(規則は大臣が定める)の規定は、①医薬部門②工業的部門③農業部門④研究開発等を対象にされており、小生も核燃料物質の製造事業には当てはまらないと思っていたことが、ズバリそのものでした。
 東海村・JCOは、国道6号線沿いにあり、少し離れて親会社の住友金属鉱山があります。
 敷地は5千坪(推定)、正面左 側にサッカーグランドがあり、建物も新しく屋内も整備されていました。
 守衛室の係員も丁寧に頭を下げられ、応対された3名の担当者も神妙で、事故対策チームリーダーも要請にあたって冒頭から謝罪され、私たちの要請文の範囲のみ回答され、質問事項①事故に際しての指揮命令系統②安全衛生管理体制の確立③フイルムバッチの着用④防災・消防計画と訓練等の有無について、後日各担当者から回答することを確約しました。
 現在、親会社から職員も配置し延べ200人、常時50名が原因究明、補償等について従事しているとのことでした。
 この後、東海村役場を訪問し、企画政策部長、課長の事故当時の対策の説明を受け茨城県庁、科学技術庁との相違(臨界に対する認識、退避)があったことを知ることができました。
 東海村村長は独自に判断して半径350m内の住民に退避勧告要請を行なったことが、地元では「英断」として評価されています。

学校教育で原子力の危険
 とくに放射能、放射線の基礎的学習を

 
余談ですが、東海村は人口約3万4千人、日本原子力研究所をはじめ、核燃料物質に係わる原発施設が13箇所、そのうち製造事業所が3箇所もあります。
 村役場は豪華な建物で、職員700名(病院1箇所含む)、原子力対策課(3F)も設置されています。村財政も豊富で、隣接町村との合併にも反対しており、小生の感触では、東京電カからの資金提供を受け、政府からもかなりの補助金が出でいることのではないかと思います。
 最後に、小生も過去に原発問題に関して一時関心を寄せましたが、臨界事故を通じて日本の法制度や核燃料物質に傾注しはじめただけに、学校教育でも原子力についての危険性、とくに放射能、放射線について知識の必要性を感じました。( 1999.12.8  )

2011年8月1日月曜日

安全は絶対譲れない アスベストを学校から撤去と全員の健康診断を と強く要求


山城貞治(みなさんへの通信54)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その34)


いのちと健康よりも費用優先にストップ

  「アスベスト除去は、費用がかかる。従来の塗り込め方式でいい」などという府教委は、子どもの健康と・安全に関する事はまったく無関心であると思われた。

 特に「塗り込め方式では、ダメだ。」という主張に対して、誰がそんなことを言っているのかとか、府教委に逆らうのかという話が陰に陽に広められた。
 A高校の面積は少ないのに何も「除去」をいわなくてもいいではないか。
大変な工事だからすぐに授業が出来る塗り込め方式でいいではないか、という声も校内で出てきた。
 しかし、アスベストの危険性を知る中で、次第にただ単なる有害物質ではない、何十年も先に「爆発する」と言われている「静かなる時限爆弾」である事がA高校では広がりはじめた。

WHOの安全基準を持ち出した
     府教委の根拠を翻訳して打ち砕く

 当初府教委は、「除去」を言うのはA高校だけだと言っていたが、次第に各府立学校で「アスベスト除去」の声が広がりはじめた。
 府高本部も府立学校総括安全委員会でも「アスベスト除去」の話が出されたが、府教委は空気中にアスベストは自然に浮遊している。
 容量がすくなければ問題がない。アスベストの繊維が大きいから大丈夫だ。
 「WHOの基準に照らしても安全である。」
などと言い出した。
 そのため府高労働安全衛生委員会ではWHOのアスベストに関する本文を調べ、翻訳して府教委の「WHOの安全基準」なる根拠がデタラメであることを証明していった。
 またアスベストは、細分化されるほど体内に入り発がんすることなどなども示した。
 ともかく、府教委は「アスベスト除去」をするとそれまでの対処や答弁が問題になるので、「アスベスト除去」を主張する教職員を押さえ込もうとすることばかり考えていたようである。
 A高校衛生委員にもさまざまな「見えない圧力」があったが、また分会は、府会議員に現場を見に来て欲しいと再三要望したが、誰一人来ることもなかった。
 しかし、PCB問題以上に絶対譲れないものとして妥協することはなかった。
府教委は一貫して 生徒、教職員、保護者に危険を知らせ 安全対策をとらなかった
 結局、校長から「アスベスト除去」の工事が始まるという事で話があり、全教職員と保護者への謝罪と工事への協力の文章を出した。
 しかし、府立学校の設置者である京都府、管理運営を任されている府教委は何らの見解を出さなかったが、A高校のアスベスト除去以降、他校では校舎の全面改築、各棟の立て替えなどを行ったようであったが、それはアスベスト除去によるものとは教職員には言わなかった。
 しかし、今日では、アスベスト除去した会社のホームページには、私たち教職員が知り得なかった府立学校「アスベスト除去」の工事実績が掲載されている。
 当事者に知らさない、と言うのが府教委のアスベスト問題の基本であった。

 A高校では、労働基準監督官などの立ち会い(「アスベスト除去」作業の労働者に対する労働安全衛生法違反がないかどうかを監督するため)の元に工事が進められ、「除去された教室」はしばらく調べて、安全が確認された後、嫌な思いが残らないように教室は一新された。































「塗り込め方式」のアスベストが剥落しても

 その後、府教委はアスベストによる特殊健康診断や卒業生や在校した教職員に対する追跡調査とアスベストによる特殊健康診断を要求したが、何らの措置もしていない。
 また、第1回目で発表した府立学校は、アスベストを除去することなく、「塗り込め方式」のままであったため、その塗り込めた部分が剥落するという事故も起きていた事を知ったのはずいぶん後だった。

アスベストが除去されるまでその学校に居た教職員生徒の
    健康診断が実施された市町村もあるのに

 先に掲載した宇治市市職労委員長のアスベスト除去の取り組みで、教職員や生徒が放置さていたことが市議会で問題になり、以下の文章が各方面に通知された。

 M小学校では、アスベストが階段の天井等に吹き付けられており、1988年に除去されるまでの間に在籍した人は、京都府と宇治市の負担での健診が受けられます。
1.対象者
 1969~88(昭和43~63)年度にM小学校に在籍した児童・教職員。
2.内容
 問診と胸部レントゲン検査
3.申込先
 宇治市教育委員会教育総務課
4.申込期間
 2006年2月28日まで
5.費用
 京都府内在住者は、京都府の制度を利用するので無料。
 府外在住者は、市が一部負担。


 これと同じ措置が京都府下の市町村でも行われることはあったが、府立学校なのに京都府も府教委も何もしないまま今日まで来ている。
 府立学校のアスベストは、分かる範囲で「少し除去」されたが問題は残されつづけている。