2011年6月16日木曜日

仏作って魂入れず

山城貞治(みなさんへの通信8)

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料 1997年8月」は、他の教職員労組にも送ったが、以下の労働安全衛生体制に対して、全教や他府県教組ばかりか、京教組からも異議が出されて非常に驚くべき事態が進行していくこととなった。


 先に異論の要旨を述べておくと、あれこれ言われたが
「労働安全衛生体制は、学校単位で衛生委員会としてつくるものである」
「労働安全衛生法の事業者は、教育委員会でもあるが、学校単位では校長が事業者である」
とするのが前提であり、労働安全衛生法の解釈だとするものであった。
 このことは法的問題とその解釈や「それをどのように教職員のいのちと健康を守るため利用するのか」という問題に関わるので少し解説したい。
 また14年も経過した最近、近畿のある府県の教師からも質問が寄せられているというので説明も付け加えたい。
  当時、労働安全衛生法研究者や労働安全衛生研究者や弁護士などから、

「教職員は、労働安全衛生体制が出来れば、教職員のいのちと健康が守れると考えているようだ。それは、仏作って魂入れず、なのだ。」

とさかんに言われた。

府高の提起した他の教組にない
      労働安全衛生管理体制

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料 1997年8月」では、

(1)まず、府立学校全体を「一事業場」とみなし、安全委員会と衛生委員会を個別に作るのではなく,、「安全衛生委員会」を設置することを要求する。
 この場合、教職員の労働実態を無視して、衛生抜き、安全抜きの「委員会」にしないことを要求する。
 安全衛生委員会は、使用者側は5名、府高推薦5名、産業医(使用者側推薦1名、府高推薦1名)計2名、・産業保健婦(使用者側推薦1名、府高推薦1名)計2名で構成すること。

 安全衛生委員会は、事務所を置き、適切な行動がとれるようにすること。
 この場合、使用者側の部屋、労働者側の部屋、産業医・産業保健婦の部屋、合議の部屋を確保し、労働者側も安全衛生委員会の事業が適切に行えるよう専従とする。
 そのことを保障するため労働者側の安全衛生委員の出身学校に教職員を加配する。また衛生管理者としての産業保健婦を必ず専任で配置し他の仕事の兼務をさせないようにすること。
 衛生管理者、安全管理者、安全衛生委員は、それぞれの仕事を遂行するために十分な保障をすること。日常点検活動、事故災害発生時に緊急に現場に行ける自由の確保、労働安全衛生教育のための講座・講習・研究会・学会への参加と物的保障、参考図書の購入、災害原因調査の権利、教職員の労働安全衛生相談の時間の確保、安全衛生委員会への参加の保障などすべての面で保障すること。

 「安全衛生委員会」が真に教職員のいのちと健康を守る実績ができた段階で、各校で「安全衛生委員会」を作り、さらにきめの細かい教職員のいのちと健康を守る体制を確立すること。
 この場合、各学校の保健部等の生徒の健康を維持し発展させる機関に「安全衛生委員会」の肩代わりをさせないことを要求する。

 なお「安全衛生委員会」には、労働組合代表を公正に認め、教育委員会(使用者)の指示に従う人を労働者代表としないことを要求する。
 また安易に保健体育教師や養護教諭が「衛生管理者」(労働安全衛生法では、学校に限ってのみ)の資格があることを理由に、本人の合意や職場の労働条件等の改善抜きに指名しないこと、衛生管理者はあくまで「教職員のいのちと健康」を守る仕事に徹することができるようにし、教育委員会からの干渉圧迫をしないことを要求する。

(2)産業医は、労働組合と協議し、双方の理解のもとに選定することを要求する。また教職員からの産業医に対する拒否権、罷免権を認めることができるよう要求する。(このことが実現しない場合は、1年間一回全教職員の参加の下に信任投票を行う。不信任が過半数を超えたとき産業医の変更を行うようにする。)
 また現在の「健康管理医」は、労働安全衛生法違反なので直ちに改めること。

(3)府教委は、労働安全衛生法にもとずき安全衛生委員会で「事業者の講ずべき措置」を検討し、事業者の講ずべき措置としての計画を毎年4月に公表し、その取り組み状況を学期ごとに中間報告し、年度末にはすべての教職員にその取り組みと総括と次年度の方向を明らかにするよう要求する。

というものであった。
 (3)は地方公務員は除外ということも承知していたが、学校が4月にはじまり、3月にはじまることも含めて考えられたものであった。

使用者と事業者は 違う

 「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料 1997年8月」作成にあたって、私たちは、多くの学習をしなければならなくなった。
 そこで、まず労働安全衛生法成立時における国会の議録を調べ、「使用者」と「事業者」の違いを調べ、教育分野や学校における「事業者」を明確にしなければならないと考えた。
そのため、「1972年衆議院社会労働委員会議事録」を調べてた。

最高の責任を明確にしたのが事業者

政府
 (労働)基準法の第十条で「使用者とは事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為するすべての者をいう。」
ということで、最高の経営者、責任者だけでなしに、その下におります労働関係に関係する、いわゆる使用者側の立場にある従業員も使用者の中に入っておるわけでございます。

最高責任者の明確化のための事業者

 そこで従来ややもいたしますと、最高責任が事業の経営者にあたるということがぼける、使用者の範囲が非常に広くて、実際の衝に当たる行為者までふくみますために、最高の責任が経営者にあるのだということがややぼけるきらいもございましたので、今度の労働安全衛生法におきましては、義務を課します対象を事業者といたしまして、これは「事業を行う者で、労働者を使用する者をいう。」ということで、経営者そのもの義務を課しまして、経営者が労働安全衛生につきましては最高の責任を持っておるということを明確にいたしておるところでございます。

事業者・事業主・使用者・行為者
と名称の区別がつきにくい

国会議員
 われわれは労働基準法を読むと事業主といことばになれておる。
 ところが新法では事業者ということばが出てきたので、これは何か意味があるのかということと、それではついでだから、事業者、事業主、使用者、あえて言うならば行為者、四つ、労働省が使う法律用語が出てきたのですが、はっきり区別しているおるとすれば、聞かしていただきたい。

労働基準法上は
   使用者という範囲は広い

政府
 基準法では、これは使用者ということばを使っておるわけでございます。
 基準法十条では「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」どういうことで、基準法上、使用者と申しますと、最高責任者である事業主だけでなしに、そういうような従業員の中、使用者のために行為をする人までも含まれる、非常に広い範囲になりますので、ややもいたしますと、そういう問題について事業主御本人の責任ということがぼやけるきらいがあるわけでございます。

最高責任者が
労働者の安全衛生の確保に取り組む

 しかしながら、特に労働者の安全衛生等につきましては、これは何といっても、その労働者を使用しておられる事業主が最高の責任を持ってあたるべき事項でございますので、そういう使用者の最高責任を明確にし、使用者が責任を持って労働者の安全衛生の確保に取り組むべきだというを趣旨を明確にするには、やはりいろいろな義務の対象者を事業主にすることが、事業主の責任明確化のために効果的である。
 かように考えまして、労働安全衛生法では基本法の使用者という概念を使わずに、事業主ということばでとらえておったわけでございます。

労働安全衛生法上では
 使用者ではなく
法人と最高責任者が罰せられる


 しかしながら、実際に事業主に使われまして、労働者の安全衛生を補完する人たちも、もちろん安全衛生については責任を負っていただく必要があるわけでございますので、この安全衛生法の百二十二条におきまして、罰則を科する場合には「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人、または人の業務に関して」違法行為をしたときは、行為者を罰するということにいたしまして、事業主の責任を明確にしたために、その下におる安全衛生管理担当者が責任感が薄らぐことのないように、その意味では実際の安全衛生担当者についても、事業主とともに、違反行為に対する責任を問うことに新法ではいたしておる。
 そういうことによりまして、事業主の責任を明確にしつつ、しかも担当者の責任も決して免れるものではないということによって、労働者の安全衛生確保の確実な履行をはかっておるところでございます。

国会議員
 それは理由はどうだっていいと思います。使いようですから。各会社の労務課長はこれは迷う。
 事業者、事業主、使用者、行為者といったものは、これはその解釈を労働省できめればいいのだから、だからそこをやはり端的に説明してもらいたかった。

という審議で、国(当時労働省)は、

 「事業者」とは、法人企業であれば当該法人(法人の代表者ではない。)、個人企業であれば事業経営主を指している。
 これは、従来の労働基準法上の義務主体であった「使用者」と異なり、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体としてとらえ、その安全衛生上の責任を明確にしたものである。
 なお、法違反があった場合の罰則の適用は、法第122条に基づいて、当該違反の実行行為者たる自然人に対しなされるほか、事業者たる法人または人に対しても各本条の罰金刑が課せられることとなる(47・9・18発基91)。


と通知したのである。

学校長は、事業者にならない

 「事業経営の利益の帰属主体」、理解しがたい話であるが、学校長は、事業者と解釈できるのかという問題に対して、府高労働安全衛生対策委員会は他の事例などを調べて「そうではない。」という他教組と違う結論に達したため労働安全衛生体制も他の教組と違う体制を主張したのである。

2011年6月14日火曜日

休憩の3原則は 教職員につうじない、のか


山城貞治(みなさんへの通信7)


  「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」配布後、すぐに府高執行部の一部と各職場の分会役員の一部から激しい変更が要求されてきたは、労働時間であったが次の項目も言われ続けた。






労働基準法の休憩の原則は無理だ

 すなわち、

(3)休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間にとれるよう調査検討するよう要求する。だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。
(4)休日出勤の代休は、翌日を原則とし、代休がとれない場合でも1週間以内にとれるように限定を要求する。
(5)宿泊をともなう労働の場合は、当面泊数に応じた回復日を保障するよう要求する。
(6)深夜にわたる家庭訪問などには、翌日回復休暇を与えるよう要求する。しかしこのことは極力さけるよう府教委としての指導を要求する。

の項目であるが、

今までどおりで
なぜいけないのか、との批判

「(4)休日出勤の代休は、翌日を原則」
「(6)深夜にわたる家庭訪問などには、翌日回復休暇」

などは、
「校長との間で暗黙の了解や約束事項があり、教師の都合の良いときに(まとめどり)をしているので、こんな「原則」を出されたら困る。」
 「今までどおりでなぜいけないのか」
という現状追認型の意見が出された。
 これに対しては、過労死の事例のほとんどが休み中か、まとめどりをしているときに起きていること。
人間は、小刻みに休まないと身体は維持できないなどの意見も出された。

学校で休憩時間を
自由に利用する
 なんて出来るはずがない

 しかし、一番反発が出てきたのは、
 (3)休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間にとれるよう調査検討するよう要求する。だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。
であった。
 当初の原案は、

労働基準法(休憩) 第34条
  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
の「労働時間の途中」という文言を使っていた。
 しかし、「政策」作成の過程から、多くの労働安全衛生対策委員から
1、従来京教組も府高も「職場協定」を結ぶように指導があり、「休憩時間45分」と「休息時間15分」(当時、手待ち時間との扱いで存在していた。)の合計1時間を終業時間前にとるということで、1時間早く帰ることが出来るようになっていた。
 労働基準法にこんな事が書かれているなんて、まったく知らなかった
 教職員組合の方針が間違っていたと言うことになる。
2、これの「政策」では、従来の時間より1時間延びる。
3、だいたい学校で、

「休憩時間を自由に利用するなんて出来るはずがない。」
「生徒もいるし、昼の休み時間には仕事がり、生徒指導も様々あるではないか。」
 「自由にって言って、学校抜けられる現状があるのか。」
 「教職員になってから休憩時間を自由に利用できた教職員は何人いると思うか。」
「今まで、労働基準法にこんな事が書かれているなんて、まったくしらなかった。」
などなどの意見が大半であった。

職場協定は
  守られていないのに

 そのため労働基準法をよく知る教師から休憩の「一斉」「途中」「自由利用」のことについて説明があったが、労働安全衛生委員では一致せず、他の労働分野を調査するなどのことになった。
 もともと休憩・休息時間の終業前の問題は、保育所の迎え・小学生子どもを持つ教職員の切実な問題から、京教組や府高が「職場協定」を結ぶことでその問題も一定解決すると出した方針であった。
 しかし、組合内部では労働基準法違反を容認するという意見もあり、校長との間で職場協定を結ばなかったところも多かった。
 労働安全衛生対策委員会の論議がされた時期には、保育所・学童保育の長時間保育が実現し、休憩・休息時間を終業前としなくても子どもたちを迎えに行くことは可能であった。
 その後、労働安全衛生対策委員会で調べてみると、休憩・休息時間の終業前とする校長との職場協定が事実上蔑ろにされ、協定を結んだ頃よりも帰宅時間が大幅に遅くなっている職場がほとんどであることが判明してきた。

公立保育所の大論議とその教訓を学ぶ

 さらに、公立保育所の保母(当時)の休憩時間を調べて見ると、労働基準法から休憩時間が取らせていないと行政当局に再三にわたる警告、改善命令が出されていたこと。(公立保育所は、労働基準監督署の監督下になっていた。)
 そのため、自治体労組と保母の間で大論議して、パート保母の増員も含めて交代で「休憩時間」を確保するようになったこと。
 「休憩時間」確保の前後を比べると腰痛などの職業病が激減したことや、保母の疲労感が減ったことなどが、自治体労組の調査で明るみに出たことなどが解ってきた。

反発するのは
 府教委へのはずなのに

 そのことを、労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」で掲載したが、反発はくすぶり続けた。
 しかし、そのことはのちに述べる人事委員会から労働基準法・労働安全衛生法関係の情報開示請求によってすべて、「政策」が正しかったことが証明されることになる。
 他の労働組合から見れば、当たり前のことでも、労働の常識事項でも教組の役員には、簡単に理解はされないという残念な教訓だった。
 労働安全衛生対策委員会では、「休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間」とあえてしないで、
「とれるよう調査検討するよう要求する。」
「だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。」
としたのだが、なぜか難しい状況になった。

2011年6月12日日曜日

団結が弱まれば弱まるほど いのちや健康は削られる


山城貞治(みなさんへの通信6

「仲間を見殺している!!」の意見を受けて、府高は労働安全衛生対策委員会をつくり、11ヶ月ごの1997年8月に「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために(第1次討議資料)」を発表した。





 その「政策」を掲載したが、この「政策」には、府高の各職域や専門部の代表も集まって検討され、第1次案から数十回の変更、追加をくり返して作成され、府高組合委員だけでなく、すべての教職員に配布して、意見を聞き、府高としての労働安全衛生をすすめることとなっいていた。
 ところが配布後、すぐに府高執行部の一部と各職場の分会役員の一部から激しい変更が要求されてきた。

もめ続けた教職員の労働時間問題

 それは、教職員の労働時間問題であった。
 以下当時の状況と現在では、大幅に異なっているが出された意見を紹介する。

(1)週休2日の完全実施を要求する。
 従来の「指定日」(週休日)の夏休み、冬休み、春休みなどのまとめ取りは、労働基準法違反なのでやめさせる。

 このことに対して具体的には、
「現在の状況では週休2日どころか休みさえ取れない。」
「民間のように週休2日の実施は無理である。」
「クラブ指導をするなと言うことか。」
「補習授業をするなと言うことなのか。」
「結局、教育を適当にせよと言うことか」
などなど次々と現状追認の意見が出てきて、
「週休2日の完全実施をするための具体的意見」は何もなかった。

 そればかりか、「週休2日の完全実施」の項目を削除せよとせまる意見も少なくなかった。

教師の仕事は労働時間は関係がない、との意見

 この時、労働基準法上はそうなっているから、と説明しても労働基準法すら読んだことのない教職員には、まったく通じなかった。

 「週休2日の完全実施」は、保健体育の教科書にも家庭科の教科書にも書いてあるとも説明した

が、教職員はそのことと別。
 労働時間のことを言っていたら教育できない、と頑なに言って譲らない教職員も多くいた。
 そのため、労働安全衛生対策委員会は、
「この項目をみんなで検討しよう」
という結論に達して、労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」で系統的に採り上げることした。
 今思えば、この項目が一番激しく批判されたが、その後一番理解されていったとも言える。

教師は「拘束されて働いていない」と抗議が 

(2)労働時間としては、授業の準備、採点、教材づくりや各種会議などの労働拘束時間として位置づけるよう要求する。

 この「労働時間は、拘束時間」という項目にもクレームがついた。
「なにも、その仕事をしろ、と言われてしているわけではない。」
「好きでやっているのだから、拘束とは言わないだろう。」
など、教師はやらされて仕事をしているのだから、労働時間外なんて固く考える必要はない。」などなどである。

「安全配慮義務の法理とその活用」の学習会で
岡村親宜弁護士がハッキリ・キッパリ

 これらのことも含めて、2000年2月25日府高労働安全衛生対策委員会は、「安全配慮義務の法理とその活用」のテーマ弁護士の岡村親宜氏に来ていただき講演、学習、質疑を実施した。
 この時、岡村親宜氏は、「安全配慮義務」について具体的に説明し、教職員に説明されたことは、今も伝承されている。
 まずその一部を紹介する。

法律は、時代によって動く

 今日、私が強調したいのは、みなさんの身体のことですが、これに教科書はないのです。
 
義務の範囲なり義務の程度なり、これは力関係によって動いていく。
 法律というのは、みなさんの安全なり衛生の問題でいっても、その時代、時代によって動いていくのです。
 裁判についても、ものすごく動いていく。
 たとえば私自身も、最高裁判例がこんなに早く出るとは、全然予測していませんでした。
 しかし、無数の闘いが起きていくと、それを高度で認めるような判例が出るのです。そして、力が弱まってくると押し返されてしまうのです。
 たとえば、国有林労働者の白ろう病事件では、一時高知地裁判決で国の責任を認めました。
 すると高松高裁は、国は何十億という判決で負けるので、これは大変だということで、当時、白ろう病が発生するという予見できなかったので安全配慮義務はない、という判決を出したのです。
 しかもこれは殺人罪で告発したので、この間出た緑十字の問題のようなことになったら、国側の担当官は首です。
 そこで、最後は巻き返され最高裁でも敗けてしまったのです。
 だから、力関係よりも大きいことをやると、巻き返されてしまうという問題があるのです。

力関係で動く法律

 つまり法律があるわけではないので、力関係によって動いていくということです。
 闘いが弱くなれば巻き返されるのです。
 職場の安全衛生でいえば、必ずいのちや健康を害する人は出てきます。
 
団結が弱まれば弱まるほど、いのちや健康は削られる

 私は過労自殺の問題なども扱っていますが、職場の団結が弱まって、サポート体制がないところに仕事が集中すると、その人は必ずものすごいストレスを受けて、おかしくなります。
 これは遺伝ではなくて、基本は環境因子です。
 脳心の過労死もこのストレスによって起きます。
 だから、団結が弱まれば弱まるほど、いのちや健康は削られるということです。
 そこのことを考え、判例があるとか、こういう学説があるということではなくて、その中でどれだけ押しこんでいけるような闘いが組織できるか、どうかがカギになるのではないかと思います。
 だから、私どもが若造でこういう闘いをやれたのは、1960年代後半に全体が盛り上がる労災職業病闘争があったからです。
 その後、総評解散に伴って安全センターも解散するという状態の中で、民間の企業における安全衛生委員会は、いまほとんど機能しなくなっています。

遵守させる運動がなかった学校職場

 学校職場において安全衛生法を遵守させる運動が、あまりなかったのだと思います。
 いわば法律や判例がいくらあっても、意味がないのです。
 使えるだけの運動があるか、ないかが、勝負を決めていくと私は思うのです。
 その意味では、すべての労働組合、すべての支部・分会に、まず安全衛生対策部を置くということが大切だと思います。

2011年6月11日土曜日

教育と労働安全衛生と福祉の事実: 読み書き障害の子どもは ぼく、字が書けない と断定し、 さぼってなんかいない とする教育展望と滋賀大学教育学部窪島務氏の巨像と実像(4)

教育と労働安全衛生と福祉の事実: 読み書き障害の子どもは ぼく、字が書けない と断定し、 さぼってなんかいない とする教育展望と滋賀大学教育学部窪島務氏の巨像と実像(4)


教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために(第1次討議資料) ( その3 )

山城貞治(みなさんへの通信 5)

  教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために(第1次討議資料)は、1997年8月に出されたもので、約14年の月日が経過していますが、「政策」が出されて、約10年間に実現したことは、具体的に順次お知らせしますが、今回は当時出された「政策」を引き続き掲載させていただきます。











教職員のいのちと健康を守るための労働条件を発展させる基本政策として以下のことが必要です。
 (この政策は、、府高の基本要求を前提としながら教職員のいのちと健康を守る部分に直接関連する政策とします。)


当面 京都府・京都府教育委員会に
 対して次の基本要求を要求します。

事業者として京都府・京都府教育委員会は、最低基準を上回る労働条件を確立すること
① 京都府・京都府教育委員会は、すべての府立学校で労働基準法の最低基準を上回る労働条件を確立すること。そのため当面府立学校における労働基準法違反を直ちに改めること。
 また京都府・京都府教育委員会は、
 労働安全衛生法の第1条「この法律は労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講じる等その防止に関する総合的計画的な対策を促進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」
 同第3条「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」
という事業者の責務を厳守し、その目的達成のため府立学校にあらゆる措置を講じるとともにその目的達成のための必要な予算措置を講じること。

② 以下の原則から考えて、従来の労働時間問題を見直して、京都府・京都府教育委員会に要求します。
 労働時間は「最低条件」ではなく、
  第一に労働時間の基本単位を一日としてとらえ労働時間の原則とする。
 第二に労働時間に関わるすべての条件を「限界の条件」(これ以上働かしてはならないし、働いてはいけないという条件)を
 原則としてとらえる。
 第三に労働時間を労働者が人たるに値する生活を保障しうるものではなければならず、人たるに値する生活を営むことを権利として行使する基本的人権の原則としてとらえる。

休みのまとめどりをさせない
(1)週休2日の完全実施を要求する。
従来の「指定日」(週休日)の夏休み、冬休み、春休みなどのまとめ取りは、労働基準法違反なのでやめさせる。

拘束時間は労働時間
(2)労働時間としては、授業の準備、採点、教材づくりや各種会議などの労働拘束時間として位置づけるよう要求する。

労働時間の中間に休憩時間を
(3)休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間にとれるよう調査検討するよう要求する。だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。

代休は翌日に
(4)休日出勤の代休は、翌日を原則とし、代休がとれない場合でも1週間以内にとれるように限定を要求する。

宿泊労働は宿泊日数に応じた回復措置を
(5)宿泊をともなう労働の場合は、当面泊数に応じた回復日を保障するよう要求する。

深夜にわたる家庭訪問の回復措置
(6)深夜にわたる家庭訪問などには、翌日回復休暇を与えるよう要求する。しかしこのことは極力さけるよう府教委としての指導を要求する。

年休届けの簡略化
(7)労働基準法違反の「年休届」を明らかにさせ、年休届の様式を変更させる。同時に府教委や管理職に年休権を守るよう教育する。

年休取得状況報告を
(8)過去25年間の年休消化状況・指定日消化状況、生理休暇取得状況を、府立学校全体及び各学校ごとの取得状況を報告させ、年休権や生理休暇の行使が出来るよう要求する。

超過勤務状況報告を
(9)過去25年間の、教職員の超過勤務状況を府立学校全体及び各校ごとの状況を報告するよう要求する。
 特に限定4項目(生徒の実習、学校行事、教職員会議、非常災害等やむ得ない場合)で勤務を命じた時間外勤務時間数とその件数及び教員数を府立学校及び各学校ごとの報告をさせる。
 また限定4項目を無視して勤務を命じ、「教職員の健康と福祉を害した」勤務時間数及び教員数を府立学校及び各学校ごとに報告するよう要求する。

通勤時間は1時間以内に
(10)現行の通勤時間1時間半をこえることなどをやめさせ、1時間以内とするよう要求する。
 その場合、公共交通手段による通勤時間であって、自家用車による通勤時間とさせない。

夜間労働時間の短縮を
(11)府立学校での夜間時間(日没以降などの労働時間)の労働に対しては、その拘束時間をさらに短縮するとともに回復時間を多くとれるような手だてを講じさせる。

勤務時間内に給料が受け取れるように
(12)賃金を受けとる(金融機関等への給料の口座振り込み)時間を労働時間として認めさせる。

労働安全衛生管理体制について

府立学校全体を「一事業場」として
(1)まず、府立学校全体を「一事業場」とみなし、安全委員会と衛生委員会を個別に作るのではなく、「安全衛生委員会」を設置することを要求する。この場合、教職員の労働実態を無視して、衛生抜き、安全抜きの「委員会」にしないことを要求する。
 安全衛生委員会は、使用者側は5名、府高推薦5名、産業医(使用者側推薦1名、府高推薦1名)計2名、・産業保健婦(使用者側推薦1名、府高推薦1名)計2名で構成すること。

 安全衛生委員会は、事務所を置き、適切な行動がとれるようにすること。
 この場合、使用者側の部屋、労働者側の部屋、産業医・産業保健婦(注 当時の名称 )の部屋、合議の部屋を確保し、労働者側も安全衛生委員会の事業が適切に行えるよう専従とする。
 そのことを保障するため労働者側の安全衛生委員の出身学校に教職員を加配する。
 また衛生管理者としての産業保健婦を必ず専任で配置し他の仕事の兼務をさせないようにすること。
 衛生管理者、安全管理者、安全衛生委員は、それぞれの仕事を遂行するために十分な保障をすること。
 日常点検活動、事故災害発生時に緊急に現場に行ける自由の確保、労働安全衛生教育のための講座・講習・研究会・学会への参加と物的保障、参考図書の購入、災害原因調査の権利、教職員の労働安全衛生相談の時間の確保、安全衛生委員会への参加の保障などすべての面で保障すること。

 「安全衛生委員会」が真に教職員のいのちと健康を守る実績ができた段階で、
 各校で「安全衛生委員会」を作り、さらにきめの細かい教職員のいのちと健康を守る体制を確立すること。
 この場合、各学校の保健部等の生徒の健康を維持し発展させる機関に「安全衛生委員会」の肩代わりをさせないことを要求する。
 なお「安全衛生委員会」には、労働組合代表を公正に認め、教育委員会(使用者)の指示に従う人を労働者代表としないことを要求する。
 また安易に保健体育教師や養護教諭が「衛生管理者」(労働安全衛生法では、学校に限ってのみ)の資格があることを理由に、本人の合意や職場の労働条件等の改善抜きに指名しないこと、衛生管理者はあくまで「教職員のいのちと健康」を守る仕事に徹することができるようにし、教育委員会からの干渉圧迫をしないことを要求する。

健康管理医は 労働安全衛生法違反
(2)産業医は、労働組合と協議し、双方の理解のもとに選定することを要求する。また教職員からの産業医に対する拒否権、罷免権を認めることができるよう要求する。(このことが実現しない場合は、1年間一回全教職員の参加の下に信任投票を行う。不信任が過半数を超えたとき産業医の変更を行うようにする。)
 また現在の「健康管理医」は、労働安全衛生法違反なので直ちに改めること。

事業者の講ずべき措置としての計画を毎年4月に公表
(3)府教委は、労働安全衛生法にもとずき安全衛生委員会で「事業者の講ずべき措置」を検討し、事業者の講ずべき措置としての計画を毎年4月に公表し、その取り組み状況を学期ごとに中間報告し、年度末にはすべての教職員にその取り組みと総括と次年度の方向を明らかにするよう要求する。

労働安全衛生対策について

(1)安全衛生委員会で、毎年定期的に教職員が一番忙しい時期に疲労やストレスを含めた教職員の健康調査を行い、その結果を公表させる(個人のプライバシーなどは除く)とともに教職員のいのちと健康を守るための総合対策を明らかにさせる。

(2)退職教職員の健康追跡調査を行わせる。

(3)教職員の健康診断等については、その目的趣旨を教職員に徹底させるよう要求する。
 現行の「医師なし健康診断」は、労働安全衛生法違反なので直ちに改めさせる。同時に違反になった経過と原因を明らかにさせる。
 定期健康診断が、生徒の健康診断の間に行われることや、1年間にわたることを改めさせる。少なくとも年度末にまでにわたって定期健康診断を行うことは、教職員の異動等など多くの弊害があるのでやめさせる。
 さらに現行健康診断に、腰痛健康診断、けいわん健康診断や乳ガン健康診断、子宮ガン健康診断、肺ガン健康診断、前立腺健康診断などのガン検診を導入させ、ガンの早期発見早期治療などができるように要求する。

 また教職員の健康診断のための「休暇制度」を確立し、教職員の専門医療機関で受診できるようにするよう要求する。健康診断結果は、個人のプライバシーを堅く守り、原則として1ヶ月以内に受診者全員に通知する。しかし、健康診断結果が個人にのみ返されて終わるのではなく、教職員全体の健康診断結果の概要を明らかにし、安全衛生委員会で協議し、「事業者の講ずべき措置」に反映することを要求する。

 また、健康診断を受けられなかった教職員が、他校で受診するときは出張扱いとする。
 健康診断を他の医療機関で実施した(拒否権を行使した)教職員には、その医療機関に府教委が実費を支給するよう要求する。時間外健康診断は不当なものであるので改めさせる。
 以上の点に立って健康診断が受けられない教職員をなくす。

(4)採用時の健康診断についてはその基準を明らかにさせるとともに、過去不採用になった理由を公表させ、その扱いが不当なものであった場合は、採用取り消しなどを改めさせるなどのことを要求する。

(5)健康診断後の健康指導は、府教委が責任を持つ。教職員の健康状況については、プライバシーを厳守しながら、きめの細かい健康指導を実施するよう要求する。
 2次健診は、府教委が責任を持ち教職員に援助するとともにその費用を負担する。
 なお教職員の健康状況についてのプライバシーを守らなかった管理職は、処分させる。
 また病気等の教職員や健康診断で病気がわかった教職員には、絶対強制異動をさせないことはもちろん、安心して治療に専念できる保障を作り、学校の教職員の「自助努力」にゆだねないこと。
 また現行病気休暇制度を3年間という縛りだけで終始するのではなく、教職員が安心して快適に仕事ができるように根本的に改善するよう要求する。また病休講師は7日以上1ヶ月未満についても導入するものとする。

(6)安全衛生教育は、憲法と労働基準法・労働安全衛生法にもとづき「その最低基準」を教えるのではなく、その最低基準を上回る方向を教えること。
 また講師などは、組合との合意にもとづき選定し、使用者側の一方的な教育にならないように要求する。労働安全衛生に対する理解や意見の違いがある場合は、両方の講師を迎え安全衛生教育をすすめるよう要求する。

(7)京都府公立学校教職員疾病審査会の全容(構成メンバーも含む)を明らかにし、今日までの取り組み状況を報告するよう要求する。
 同時に審査会そのものを根本的に改めるよう要求する。
 当面、組合代表の審査会への参加や組合の推薦する複数の医師を入れさせる。
休職から職場復帰した教職員には、リハビリ勤務をはじめきめの細かい対策をおこうなう。
 なお、職場復帰やリハビリ勤務については、教職員の主治医の意見を尊重し、本人、主治医、産業医、府教委・学校、組合の合意を前提とする。

(8)公務災害を取り扱う、地方公務員災害補償基金京都府支部などの諸制度を基本的に改善させる。
 また地方公務員災害補償基金京都府支部(審査会を含む)には、公正な判断をさせるために教育委員会関係者を加えないなどをはじめ、不当な制度を改めさせる。

(9)公務災害は、本人申請を妨害することなく、管理職が責任と役割を持って公正に対処させる。また公務災害の手続きを簡素化し、認定時期をいたずらにのばすことなく早急に手だてを打つこと、実態に応じて現行法制度にない災害でも救済措置をとることを要求する。
 民間の労働災害がすでに適用されているケースは、無条件で公務災害を適用すること。
 また公務災害適用後も本人救済、健康管理、リハビリなどの援助措置を行い、府教委としての責任を果たさせる。

(10)職場の労働環境については根本的見直しをはかり、教職員の要求を受け入れ、生き生きと希望のもて、自由に話せる職場環境(快適で安全な職場)にすることを要求する。
 特に教職員の労働が、長時間立ち仕事であることが基本的に改善がなされていないことを改めさせる。
 妊娠中や腰痛、頸肩腕障害や病気などの教職員が常時座ることができるようイスなどの配置を教室や教育現場に整備する。
 職員室などの机イスなど既存の事務机などを快適なものとするため基本的に入れ替えるとともに職員室や事務室などを大幅に広げる。
 この場合、職場の労働環境は、大多数の教職員が満足しても不快に感じる教職員があれば、個人差を配慮する。

(11)学校における喫煙は、その有害性を周知するとともに分煙室は最低条件として設置すること。

(12)学校における有害性のあるものや物理的性質(引火性、爆発性、揮発性など)、発ガン性(変異原性)、アレルギー、遺伝性毒性などの予防策(設備、装置、予防具など)と緊急対策を行わせる。
 有害物の基準は、日本産業衛生学会の許容濃度基準を尊重すること。

(13)各校の教室や廊下、体育館など学校全体を労働現場として位置づけさせ、採光、換気、温度などはもちろん、チョークをはじめ様々な粉じん対策や黒板(軽量移動式)、教壇などの改善を図り、教職員の安全と健康を守る対策を行わせる。

(14)人権無視の生理休暇届を改め、女性教職員が自由に生理休暇が取れるようにさせる。
 また生理休暇の必要性と女性教職員の健康との関係を明らかにし、生理休暇制度の充実を図らせる。

(15)妊娠した教職員には、妊娠が判明したときから代替え教職員を配置させる。
 また、管理職は、妊娠した教職員が安心して労働できる条件をつくるとともに生徒への協力・理解を率先して求めるようにする。
 妊娠障害、流産、死産が特に多い学校を公表させ、その原因と対策、今後の方向を明らかにさせる。

(16)各校に学校騒音から遮断された男女別でゆったり横たわれ、真に安息できる休養室を正式に設置させる。

(17)3ヶ月に1回日常的に学校の安全衛生点検(生徒のみならず教職員の立場にたった)をすすめ、その結果を関係者全員に公表させ、学校の安全を確保する。また障壁(バリアー)をなくす。
 教職員が指摘する各学校の安全衛生上問題がある危険個所などを明らかにさせ、それを直ちに改善させ、安全上の対策を講じさせる。
 指摘された危険個所を放置したり、無視した管理職の名前を公表させ、それなりの処置を行わせる。

(18)各校で各種機械などを導入する時は、事前にその機械などの安全を点検するとともに教職員への安全教育を徹底させる。

(19)府立学校では、理科などにおいて化学劇物を扱うことが多くあるため、劇物等の取り扱いなどの安全教育を徹底させること。
 また薬品保管庫の整備、管理、点検などを教職員任せにするのではなく、府教委が責任を持ち対策を講じるよう要求する。
 さらに理科実験室などの安全衛生面での総点検をおこない、強制吸排装置や十分な備品及び安全で衛生的な実験室を整備させる。
 また恒常的にある化学実験でのけが、事故などをなくし、その予防対策を進めさせるとともに、けが、事故などについては、そのつど教師、実習職員などに公務災害適用を行い、公務災害かくしをしないよう要求する。

(20)実験、実習、実技指導などの災害をなくし、その予防策をすすめさせる。災害については、公務災害適用を行い、公務災害かくしをしないように要求する。

(21)工業課程を置く学校では、特に工業用の安全衛生基準と安全衛生マニュアルをつくり十分な安全対策を講じさせる。

(22)水産課程を置く学校では、安全衛生基準と安全衛生マニュアルをつくり十分な安全対策を講じさせる。
 その場合、航海、潜水などの安全衛生対策を強化させる。

(23)農業課程を置く学校では、特に農薬などの安全衛生対策や機械使用の安全対策を講じさせる。

(24)各学校のコンピューター使用については、教職員にVDT使用時の労働安全衛生基礎知識を教えるとともに、作業環境、使用時間などの労働省基準を上回ることはもちろん、日本産業衛生学会の「VDT作業に関する委員会報告」を尊重させる。
 現在実施されているVDT健康診断を希望者だけに限定せず使用者全員が受診できるようにすること。
 またVDT健康診断の内容を大幅に完全すること。また健康診断結果について集団対策を講じること。
 各校に設置されている各種コンピューター教室は、VDT作業の手本となる環境を作ること。

(25)管理職などの、威圧的態度、要求無視、高圧的態度、人権無視、学校の民主的運営の破壊などは、教職員のストレスを増加させ、精神衛生上もっとも悪いものになっているのでやめさせる。

(26)教職員の精神衛生上の対策として、各種休暇制度を、授業や仕事の補充を無くし、自由に気兼ねなく休めるようにする。
 また生徒の諸問題を教職員個人の能力や資質や責任に返すことを取りやめ、学校として集団的に対応するとともに、学校教育の果たす役割と社会の果たす役割を区別し対処すること。
 また、管理職は、上意下達のやり方を直ちに改めること。

(27)障害児学校での腰痛健康診断、けいわん健康診断で、労働軽減が必要とされた教職員に対し、労働軽減のための教職員を配置すること。

(28)障害児学校に、安全で衛生的で働きやすい環境をつくること。
 机・椅子・ベッド・便器などを教職員の作業姿勢を考えて調節可能なものにするとともに、あらゆる設備の安全・衛生点検を行いその改善を進めること。
 また、リフターやリフト付きスクールバスをはじめ先進諸国で導入されているオーダーメイドの人間工学にもとづく機器の導入をはかり、教職員の健康を守るなどの予防策を講じること。

(29)教職員に対する「感染症対策」を行い、必要に応じて特殊健診などを行うこと。

 第1次討議資料を読まれたあなたの意見を、分会や府高労働安全衛生対策委員会までお寄せ下さい。

 府高労働安全衛生対策委員会では、寄せられた意見をもとに「府高労働安全衛生対策委員会基本政策」を検討し、改善したり、修正したり、付加したりして、府高執行委員会へ提言したいと考えています。
 
   あなたの意見と考えをぜひお寄せ下さい。

2011年6月10日金曜日

教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために(第1次討議資料) ( その2 )



 今回の教職員の労働安全衛生問題の政策では特に以下の点を考慮しました。

系統的取り組みをすすめる
(1)教職員のいのちと健康を守るための運動の担い手は、労働者・労働組合です。とくに労働組合の組織的系統的取り組みは、この運動を大きく左右します。
 そのため政策の基本に労働組合としての基本的立場を入れました。

一致することで行動と要求
(2)労働安全衛生問題の政策は、政策が確立した時点で行動するという研究検討事項ではなく、いのちと健康という切実さから考えて、基本方向が一致できる点で行動と要求をすすめて行くことで真の実効をあげることが出来ます。

労働安全衛生用語を解りやすくする
(3)労働安全衛生問題の政策の中では、特に労働安全衛生用語を教職員の問題意識にマッチしたものとなるよう工夫するとともに、他の労働分野ですでに定着してきた労働安全衛生用語もあるので、他の労働分野との共通性を持たせるために労働安全衛生用語との併用性を持たせました。
 メンタルヘルスという問題についても、今日さまざまに解釈され使用されている言葉であるため概念の食い違いが生じるので、「教職員の精神衛生上良くないものとして……」という表現などにしてみました。

教育と医療と福祉の相互分担
(4)教職員の健康要求では、医療行政や福祉行政がすでに行政の対策として実施しているものもあり、それらをすべて教職員の学校現場で実施するように要求することが妥当かどうかの検討が必要であり、相互分担による対策も必要な部分があります。

みんなの知恵と力を練り上げて
(5)労働安全衛生の基本政策には、不十分さや十分検討出来ていない部分がありますが、教職員の職場討議を積み重ねることによってみなさんの知恵と力と行動で練り上げていくことが極めて大切になっています。

労働時間と休息問題を避けないで
(6)教職員の労働安全衛生問題の基本を考えると、たとえば労働時間と休息という主要な労働条件ひとつ取り上げても、子どもの教育と教職員の立場を統一的にとらえると言われながら、結果的に教職員の労働条件を抜きに考えられてきた傾向があります。
 今日これらの問題を回避することなく大胆に考えていくことが強く求められています。

教育現場を回り労働安全衛生点検を
(7)教職員の労働安全衛生問題を考えていくためには、労働安全衛生問題研究者と組合執行部、分会などが共同で各学校など教育現場を回り、教職員の労働安全衛生点検を行い、問題点を具体的に明らかにし、その改善策を具体的に教職員に示す取り組みが求められています。


労働組合としての基本的立場は、以下の点が求められています。


労働基本権を取り戻す
 (1)私たち教職員は、戦後憲法下で決められた労働基本権が、剥奪されてきた歴史を持つています。
 労働組合として、その労働基本権を取り戻し、労働者の権利を守る闘いをすすめることが最も必要になっています。

事業者責任と役割の明確化を
(2)労働安全衛生は、労働者の基本的権利であり、労働条件の基本であるという立場をどんな場面状況でも貫き、憲法や労働基準法や労働安全衛生法を活用し、京都府・府教委(事業者)の責任と役割を明確にしなければなりません。

長期にわたる職業病闘争に備えた担当配備
(3)職業病闘争などは、長期にわたることから、労働組合執行部や分会担当者は、系統的に担当することが大切です。
 たえず担当者を変えて、労働安全衛生の闘いを一時的な取り組みにすることなく、労働安全衛生対策委員会とともに系統的に闘いと取り組みをすすめてゆくことが大切です。
 近い将来労働組合代表の安全衛生委員が選定された場合、必ず安全衛生委員を労働安全衛生対策委員会のメンバーとして位置づけ、安全衛生委員任せや労働運動の力を抜いた安全衛生委員会にしないことは必須条件です。

組合執行部は労働安全衛生の先頭に
(4)組合執行部や書記局はその先頭に立つよう努力することが求められています。
 当面その具体的実践として、組合書記局を安全で健康で快適な労働安全衛生のモデルとして示すことが大切です。

顧問弁護士と顧問労働安全衛生研究者を
(5)現行の顧問弁護士とともに顧問労働安全衛生研究者(産業医)を創設することは大切なことです。
 しかし、職業病闘争などの場合などでは、その闘いの内容から考えても顧問弁護士以外の選定の自由を持つようにすることも必要な場合があります。

違法行為は許さない
(6)労働基準法、労働安全衛生法に違反する府教委・校長などの動きには、迅速に対応し緊急集会、真相究明集会、原因追及、告発はもちろん、教職員や社会への訴えなどのあらゆる手段を含めた運動をすすめ、教職員のいのちと健康を守る取り組みをすすめることが大切です。
 労働基準法・労働安全衛生法の解説とともに、法違反の場合、使用者側(府教委)がどんな罰則を受けるかを具体的にわかりやすく教職員に知らせ、具体的経験を反映した告発運動の手引きなども必要です。

校長、事務部長、教頭なども含むすべての教職員のために
(7)労働安全衛生問題をすべての教職員(校長、事務部長、教頭なども含む)の問題としてとらえ行動します。
 特に病気休業中の教職員には、見舞いを含めた行動を起こし、援助し、必要に応じて府教委と交渉するなどの行動と問題解決をはかることは大変大切なことです。

労働条件問題を秘密にしない
(8)労働条件に関わるすべてのことは、組合員に公開し、公正な情報を流し、組合員の意見を集約し、統一と団結の行動を起こすことが必要です。

系統的学習会の開催
(9)労働組合として労働基本権の学習会を定期的に開き、それを前提に労働基準法や労働安全衛生法に関わる労働条件問題を位置づけて教職員が系統的に学べるようにする取り組みが求められています。
 労働安全衛生問題の場合の講師は研究者や医師だけに依存するのではなく、民間企業や公務員で闘いをすすめている労働者を講師とすることも大切です。

生存権を守る資金を
(10)労働安全衛生闘争のための費用は、労働組合財政から支出しますが、組合費や闘争資金などは、教職員のいのちと健康を守る、まさに生存権の闘いの資金でもあることを組合員に知らせることが大切です。

協力協同の研究者のアドバイスの尊重
(11)教職員の労働安全衛生問題をすすめるための協力共同の関係にある研究者のアドバイスや立場を最大限尊重します。
 また研究者のすすめた調査や研究結果の言論・研究の自由を守ります。


おねがい 教育と労働安全衛生と福祉の事実は、このブログの不具合から以下のブログでも展開しておいます。
ご覧ください。
***********************
http://blogs.yahoo.co.jp/rouanken/MYBLOG/yblog.html
***************************

「 先生たちが見殺しにしている」という提起を受た   府高委員長





           山城貞治( みなさんへの通信 4 )

 「 先生たちが見殺しにしている」という提起を受けて、1998年7月に京都府高委員長は、次のような文章を公表した。

公務災害認定を励まされたが

  文理閣出版のご好意で「教職員のいのちと健康を守るために」という本を龍谷大学法学部の脇田教授らのご指導とご援助で出版させていただいたが、私には痛恨の思い出がある。
 府立の学校で現職の先生が病気でなくなったとき、分会は、親身になってその先生の死亡の原因を探り、先生の死亡は、公務災害ともいうべきものだと、当局に要求をしたことがある。


二度と学校職場からこうした死亡を出さないため

 これは、提訴して争うということにはならなかったが、そのときに、助言をいただいた滋賀医大の垰田先生が、私たちのたたかいをはげまされると同時、
「二度と職場からこうした死亡を出さないため」
にもという立場から、次のような指摘をされた。


 「今度のことは、確かに現場の忙しさや、管理体制強化の中で殺されたといえると同時に、そういう状態を常日頃見ているのは仲間の皆さんがたでしょう。 いい方を変えれば、皆さんがたが見殺しにしたともいえるということじゃないですか!!」と。

大変なショックを受けた私たちは

 大変ショックを受けた私たちは、二度と府立学校の職場から過労死を出してはならないと、組合運動としてもこの問題を重視して考えてきた。


 しかし、思いとは裏腹に、労働安全衛生闘争は、さして大きな成果も生まれないまま、時だけが経過してきた。
 京都府教委当局も私たちの追及に
「労働安全衛生委員会の設置の検討を労使で進めたい」
とは交渉の度に表明しながらも、あれこれの理由をつけ、具体的な検討は、大幅に遅れてきた。

もっと積極的な取り組みを、と

 こうしたときに、
「もっと積極的に、自分たちのいのちと健康について考え、取り組むことが大切だ」
という意見を府高拡大闘争委員会や府高評議委員会で、また、個人的にも多くの組合員から大切で切実な、ご意見やご指摘、激励をいただいた。

労働安全衛生対策委員会をつくる

 こうした力に支えられてできあがったのが、京都府立高等学校教職員組合労働安全対策委員会(略称府高労安対策委員会)である。


 府高労安対策委員会は、精力的に討論を進めるとともに、いくつかの積極的な提案も行っていただき、府高労安対策委員会ニュ-ス「教職員のための いのちと健康と労働」を発行して、職場内で、職種や立場の違いをこえて「いのちと健康と労働」について考える討論をすすめ、労働安全衛生学習資料を提供してきていただいた。

 1997年の7月8日に、「教職員のための いのちと健康と労働」NO1が出されて早いものでもう1年がたとうとしている。
 1年間で、77号の発行を続けたこのニュ-スは、教職員のいのちと健康を守るうで、大変威力があり、不当人事を食い止める力にもなったし、働きやすい職場にするためにも大いに役立った。


自らと教職員の仲間の健康について
   真剣に考える示唆

 何よりも府高労安対策委員会の取り組みは、私たちが自らの健康について、真剣に考える機会とともに、教職員の仲間の健康についても科学的に考えることの大切さを示唆してくれた。

引き続き
各職場で共同の取り組みを進めよう

  最後に、校務も大変な上に、何事もないかのように、献身的なご努力をいただいた府高労安対策委員会のメンバ-の方々、日本の労働安全衛生の先駆的研究と実践をすすめておられる細川汀先生、辻村一郎先生、垰田和史先生、近藤雄二先生、北原照代先生、佐藤克昭弁護士のみなさんから心のこもったヒューマニズム溢れるご指導・ご助言をいただきました。


 京都府立高等学校教職員組合を代表して、感謝の気持ちと心からお礼申し上げます。

 この11ヶ月前に京都府高は、
1997年8月 教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために(第1次討議資料)を発表していた。
(以下 教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料 は長文なものなので、小見出しを付けて分割して掲載させていただく。なお、この政策は、その後実現したり、新たに付け加えられたりする。)

教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために
(第1次討議資料) ( その1 )

 私たちのいのちと健康に関わる労働安全衛生は、教職員の諸権利と切り離して考えることはできません。
 その意味から労働安全衛生はまさに私たちの諸権利の一環ですが、今まで労働安全衛生の点での取り組みに弱い面を残してきました。

教職員の労働安全衛生の
 取り組みの弱点とその原因

 その原因としては、教職員の場合は、
 
まず
 第一に政府・反動勢力によって公務員として労働者の基本的諸権利がうばわれ、条例、規則などに拘束されてきたことがあげられます。
 第二には、労働省・自治省・文部省、府教委などによって学校保健の実施が、あたかも教職員の健康を守るための手だてであるかのようにされてきたことがあげられます。
 さらに労働基準法や労働安全衛生法の指導監督責任のある労働省が、自治省・文部省のやり方に迎合し、容認してきたため私たち教職員には、労働基準法や労働安全衛生法の適用さえも踏みにじり、権利面でさらに制限が加えられ、生存権としてのいのちと健康が労働面で無視されてきました。
 そのため私たち教職員の中には労働によるいのちと健康の危機が一層増大してきました。
 それにもかかわらず最近政府・文部省は教職員に対するいのちや健康に関わる問題で労働面からも攻撃を強化してきたため、私たちは、従来からの府高の要求に特に教職員のいのちと健康を守る問題を重点的に付記し、教職員のための労働安全衛生問題の基本政策を確立し、教職員組合としての取り組みを強めて行くことが緊急課題として求められています。

教職員労働安全衛生の取り組みは
 生徒のいのちと健康を守ることに直結

 私たち教職員が、自らのいのちと健康を守る労働安全衛生問題の取り組みを強めることは、生徒のいのちと健康を守ることに直結し、学校におけるいのちと健康の教育をより充実させ、内実のあるものとさせることができます。
 さらに、教職員の学校における労働条件や労働環境に対する点検や改善の取り組みと知識が豊かになればなるほど、学校災害を防止することにもなります。