2011年8月1日月曜日

安全は絶対譲れない アスベストを学校から撤去と全員の健康診断を と強く要求


山城貞治(みなさんへの通信54)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その34)


いのちと健康よりも費用優先にストップ

  「アスベスト除去は、費用がかかる。従来の塗り込め方式でいい」などという府教委は、子どもの健康と・安全に関する事はまったく無関心であると思われた。

 特に「塗り込め方式では、ダメだ。」という主張に対して、誰がそんなことを言っているのかとか、府教委に逆らうのかという話が陰に陽に広められた。
 A高校の面積は少ないのに何も「除去」をいわなくてもいいではないか。
大変な工事だからすぐに授業が出来る塗り込め方式でいいではないか、という声も校内で出てきた。
 しかし、アスベストの危険性を知る中で、次第にただ単なる有害物質ではない、何十年も先に「爆発する」と言われている「静かなる時限爆弾」である事がA高校では広がりはじめた。

WHOの安全基準を持ち出した
     府教委の根拠を翻訳して打ち砕く

 当初府教委は、「除去」を言うのはA高校だけだと言っていたが、次第に各府立学校で「アスベスト除去」の声が広がりはじめた。
 府高本部も府立学校総括安全委員会でも「アスベスト除去」の話が出されたが、府教委は空気中にアスベストは自然に浮遊している。
 容量がすくなければ問題がない。アスベストの繊維が大きいから大丈夫だ。
 「WHOの基準に照らしても安全である。」
などと言い出した。
 そのため府高労働安全衛生委員会ではWHOのアスベストに関する本文を調べ、翻訳して府教委の「WHOの安全基準」なる根拠がデタラメであることを証明していった。
 またアスベストは、細分化されるほど体内に入り発がんすることなどなども示した。
 ともかく、府教委は「アスベスト除去」をするとそれまでの対処や答弁が問題になるので、「アスベスト除去」を主張する教職員を押さえ込もうとすることばかり考えていたようである。
 A高校衛生委員にもさまざまな「見えない圧力」があったが、また分会は、府会議員に現場を見に来て欲しいと再三要望したが、誰一人来ることもなかった。
 しかし、PCB問題以上に絶対譲れないものとして妥協することはなかった。
府教委は一貫して 生徒、教職員、保護者に危険を知らせ 安全対策をとらなかった
 結局、校長から「アスベスト除去」の工事が始まるという事で話があり、全教職員と保護者への謝罪と工事への協力の文章を出した。
 しかし、府立学校の設置者である京都府、管理運営を任されている府教委は何らの見解を出さなかったが、A高校のアスベスト除去以降、他校では校舎の全面改築、各棟の立て替えなどを行ったようであったが、それはアスベスト除去によるものとは教職員には言わなかった。
 しかし、今日では、アスベスト除去した会社のホームページには、私たち教職員が知り得なかった府立学校「アスベスト除去」の工事実績が掲載されている。
 当事者に知らさない、と言うのが府教委のアスベスト問題の基本であった。

 A高校では、労働基準監督官などの立ち会い(「アスベスト除去」作業の労働者に対する労働安全衛生法違反がないかどうかを監督するため)の元に工事が進められ、「除去された教室」はしばらく調べて、安全が確認された後、嫌な思いが残らないように教室は一新された。































「塗り込め方式」のアスベストが剥落しても

 その後、府教委はアスベストによる特殊健康診断や卒業生や在校した教職員に対する追跡調査とアスベストによる特殊健康診断を要求したが、何らの措置もしていない。
 また、第1回目で発表した府立学校は、アスベストを除去することなく、「塗り込め方式」のままであったため、その塗り込めた部分が剥落するという事故も起きていた事を知ったのはずいぶん後だった。

アスベストが除去されるまでその学校に居た教職員生徒の
    健康診断が実施された市町村もあるのに

 先に掲載した宇治市市職労委員長のアスベスト除去の取り組みで、教職員や生徒が放置さていたことが市議会で問題になり、以下の文章が各方面に通知された。

 M小学校では、アスベストが階段の天井等に吹き付けられており、1988年に除去されるまでの間に在籍した人は、京都府と宇治市の負担での健診が受けられます。
1.対象者
 1969~88(昭和43~63)年度にM小学校に在籍した児童・教職員。
2.内容
 問診と胸部レントゲン検査
3.申込先
 宇治市教育委員会教育総務課
4.申込期間
 2006年2月28日まで
5.費用
 京都府内在住者は、京都府の制度を利用するので無料。
 府外在住者は、市が一部負担。


 これと同じ措置が京都府下の市町村でも行われることはあったが、府立学校なのに京都府も府教委も何もしないまま今日まで来ている。
 府立学校のアスベストは、分かる範囲で「少し除去」されたが問題は残されつづけている。