2011年6月14日火曜日

休憩の3原則は 教職員につうじない、のか


山城貞治(みなさんへの通信7)


  「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」配布後、すぐに府高執行部の一部と各職場の分会役員の一部から激しい変更が要求されてきたは、労働時間であったが次の項目も言われ続けた。






労働基準法の休憩の原則は無理だ

 すなわち、

(3)休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間にとれるよう調査検討するよう要求する。だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。
(4)休日出勤の代休は、翌日を原則とし、代休がとれない場合でも1週間以内にとれるように限定を要求する。
(5)宿泊をともなう労働の場合は、当面泊数に応じた回復日を保障するよう要求する。
(6)深夜にわたる家庭訪問などには、翌日回復休暇を与えるよう要求する。しかしこのことは極力さけるよう府教委としての指導を要求する。

の項目であるが、

今までどおりで
なぜいけないのか、との批判

「(4)休日出勤の代休は、翌日を原則」
「(6)深夜にわたる家庭訪問などには、翌日回復休暇」

などは、
「校長との間で暗黙の了解や約束事項があり、教師の都合の良いときに(まとめどり)をしているので、こんな「原則」を出されたら困る。」
 「今までどおりでなぜいけないのか」
という現状追認型の意見が出された。
 これに対しては、過労死の事例のほとんどが休み中か、まとめどりをしているときに起きていること。
人間は、小刻みに休まないと身体は維持できないなどの意見も出された。

学校で休憩時間を
自由に利用する
 なんて出来るはずがない

 しかし、一番反発が出てきたのは、
 (3)休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間にとれるよう調査検討するよう要求する。だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。
であった。
 当初の原案は、

労働基準法(休憩) 第34条
  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
の「労働時間の途中」という文言を使っていた。
 しかし、「政策」作成の過程から、多くの労働安全衛生対策委員から
1、従来京教組も府高も「職場協定」を結ぶように指導があり、「休憩時間45分」と「休息時間15分」(当時、手待ち時間との扱いで存在していた。)の合計1時間を終業時間前にとるということで、1時間早く帰ることが出来るようになっていた。
 労働基準法にこんな事が書かれているなんて、まったく知らなかった
 教職員組合の方針が間違っていたと言うことになる。
2、これの「政策」では、従来の時間より1時間延びる。
3、だいたい学校で、

「休憩時間を自由に利用するなんて出来るはずがない。」
「生徒もいるし、昼の休み時間には仕事がり、生徒指導も様々あるではないか。」
 「自由にって言って、学校抜けられる現状があるのか。」
 「教職員になってから休憩時間を自由に利用できた教職員は何人いると思うか。」
「今まで、労働基準法にこんな事が書かれているなんて、まったくしらなかった。」
などなどの意見が大半であった。

職場協定は
  守られていないのに

 そのため労働基準法をよく知る教師から休憩の「一斉」「途中」「自由利用」のことについて説明があったが、労働安全衛生委員では一致せず、他の労働分野を調査するなどのことになった。
 もともと休憩・休息時間の終業前の問題は、保育所の迎え・小学生子どもを持つ教職員の切実な問題から、京教組や府高が「職場協定」を結ぶことでその問題も一定解決すると出した方針であった。
 しかし、組合内部では労働基準法違反を容認するという意見もあり、校長との間で職場協定を結ばなかったところも多かった。
 労働安全衛生対策委員会の論議がされた時期には、保育所・学童保育の長時間保育が実現し、休憩・休息時間を終業前としなくても子どもたちを迎えに行くことは可能であった。
 その後、労働安全衛生対策委員会で調べてみると、休憩・休息時間の終業前とする校長との職場協定が事実上蔑ろにされ、協定を結んだ頃よりも帰宅時間が大幅に遅くなっている職場がほとんどであることが判明してきた。

公立保育所の大論議とその教訓を学ぶ

 さらに、公立保育所の保母(当時)の休憩時間を調べて見ると、労働基準法から休憩時間が取らせていないと行政当局に再三にわたる警告、改善命令が出されていたこと。(公立保育所は、労働基準監督署の監督下になっていた。)
 そのため、自治体労組と保母の間で大論議して、パート保母の増員も含めて交代で「休憩時間」を確保するようになったこと。
 「休憩時間」確保の前後を比べると腰痛などの職業病が激減したことや、保母の疲労感が減ったことなどが、自治体労組の調査で明るみに出たことなどが解ってきた。

反発するのは
 府教委へのはずなのに

 そのことを、労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」で掲載したが、反発はくすぶり続けた。
 しかし、そのことはのちに述べる人事委員会から労働基準法・労働安全衛生法関係の情報開示請求によってすべて、「政策」が正しかったことが証明されることになる。
 他の労働組合から見れば、当たり前のことでも、労働の常識事項でも教組の役員には、簡単に理解はされないという残念な教訓だった。
 労働安全衛生対策委員会では、「休憩、休息は、労働基準法どおりに労働時間の中間」とあえてしないで、
「とれるよう調査検討するよう要求する。」
「だだし、今すぐとれる条件があるところは、すぐに実行に移す。」
としたのだが、なぜか難しい状況になった。