2011年6月28日火曜日

労働安全衛生を形がい化させないと 労働安全衛生の中味を重視


                         山城貞治(みなさんへの通信20)

 労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」(1997年7月第1号)発行後、府教委には様々な動きが出てきた。
 府教委との労働安全衛生体制協議・及び確立前の出来事であるが、制度だけに依拠するのではなく、いのちと健康を守る運動の強化こそが大切であり、体制が確立しても運動がなければ形がい化する教訓を示してくれたものであった。
 以下、「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料 1997年8月」の実現した事項も経過を省略して掲載して行きたい。

府教委現職死亡や教職員の
健康破壊の対応が遅れていることを謝罪

 府教委は、1997年11月13日の府高府教委交渉の労働安全衛生問題の追求をうけ、
「教職員の健康問題は重要な問題であり、府教委として責任をもって解決にあたらなければならないと認識している。」
と回答。
 この間の現職死亡や教職員の健康破壊の対応が遅れていることを謝罪していますが、府高府教委交渉後、教育長名による学校長あての
「時間外勤務の縮減等による教職員の総実勤時間の短縮について」
の通達を出しました。

問題があるが  協定を守る府教委

 通達では、年休の計画的な使用など「労働基準法上の年休は労働者が時季を指定することによって取得できる。」という原則に違反して管理職が「時季を指定」させようとする労働基準法違反の部分などなど多くの問題がありますが、時間外勤務が教職員の健康に重大な影響を与えている現在の長時間過密労働を、「教職員の健康と福祉を害する」ことがないよう47協定に基づく通達を出しています。

6点以上の改善・遵守を文章で通達

 特に

・時間外勤務をさせる場合は、緊急性、必要性だけでなく教職員の健康状況、 学校の協力体制等を考慮すること。
・不必要で緊急性がないのに教職員を勤務させることのないようにすること。
・週40時間労働になるようにすること。
・学校運営の精選を図り勤務時間内に各種会議が終了するようにすること。
・休日勤務を出来るだけ控えるようにすること。
・管理職は、教職員が退勤しやすいようにすること。

などのうえに管理職は
「学校の実情に応じた具体的な対応策の推進に努めること。」
としています。 

教職員すべての課題  
   長時間過密労働の解決問題

 11月におこなわれた宇治市議会で、市議が教職員の日曜祝日勤務実態と代休がとれていないこと及び教職員のいのちと健康の問題を取りあげたところ、宇治市は「小中学校で教員数が国の基準より35人」も不足していることを回答。

 近畿でも京都が、最低の教員定数であることを裏付けていることが判明しました。
 このように長時間過密労働の解決問題は、教職員のいのちと健康を守るための定数問題や学校環境、管理職の態度などあらゆる問題に波及します。
 そのため以下の点を校長交渉などを通じて各分会で取り組んで下さい。

 学校で三つの取り組みを

① 管理職に勤務時間厳守とともに仕事内容の負担を改善させ、自宅に仕事を持ち帰えらされている実態の責任を明らかにさせ、「見せかけだけの勤務時間」に終わらせないこと。
② 教職員の健康を考えた「学校の実情に応じた具体な対応策」を明らかにさせること。
③ 京都府人事委員会が各学校に指導した労働基準法・労働安全衛生法違反の具体的項 目を管理職自らすべての教職員に明らかにするよう交渉すること。

( 参考資料 注:1997(平成9)年に 府教委がだした通達・一部省略)

各府立学校長 様                 京都府教育委員会   教育長

時間外勤務の縮減等による教職員の総実勤務時間の短縮について(通達)

 教職員の時間外勤務の縮減は、教職員の健康及び福祉の増進にとって極めて重要であり、校務の精選等に配慮し、勤務時間内に校務が効率的に遂行されるように意識啓発を行うよう、これまで、繰り返し指導してきたところです。
 時間外勤務の縮減の動きは時代のすう勢であり、国や他府県において積極的に推進され、また、本府においても平成9年10月13日の府人事委員会勧告の中で、総実勤務時間の短縮に向けた取組を一層積極的に続けていく必要がある旨が述べられています。
 ついては、下記事項に注意の上、時間外勤務の縮減等により総実勤務時間を短縮すべく、なお一層の取組を図るよう格別に配慮してください。
               記
1 教育職員に対して時間外勤務をさせる場合は、職員の給与等に関する条例(昭
和31年京都府条例第28号)第37条第3項に規定する4項目の業務に従事する場合で臨時又は緊急にやむを得ない必要があるときに限るものとしている「義務教育諸学校等の教育職員に対する時間外勤務等の特例についてj(昭和47年7月18日付け7教職第227号教育長通達)の趣旨を十分に踏まえること。

2 時間外勤務をさせる場合は、当該業務の緊急性、必要性等のほか、業務に従事する教職員の健康状態、学校内における協力体制等について十分考慮し、不要不急な業務で時間外勤務をすることのないように配慮すること。

3 週休日に勤務を命じる必要がある場合には、当該勤務を命じる必要のある日にできるだけ近接した日に週休日の振替等を行い、教職員の勤務時間が週40時間(週休土曜日のない週にあっては44時間)勤務となるように努めること。

4 各学校においては、これまでに行われてきのた学校運営や諸慣行の全般を、再度点穣し直し、特に次に掲げることにも留意しつつ、校内の各分掌事務の円滑化を図り、学校運営が合理的かつ計画的に行われるように努めること。

(1) 各種会議については、やむを得ない場合を除き、会議内容の精選、会議回数の縮減、開始・終了時刻の厳守、勤務時間内に終了可能な開始時刻の設定、資料の事前準備、効率的な議事進行等、合理的な運営に努めること。

(2) 学校行事については精選を更に図りつつ、年間を通して計画的に実施し、学校行事等を週休日や祝日(国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)
に定める休日をいう。)に実施することは、それぞれの地域との連携に留意しつつ、できるだけ控えるように努めること。

(3) 管理職員においては、職場の状況に応じ教職員の退勤を促す等、教職員が退勤しやすい職場の雰囲気づくりに努めること。

(4) 部活動の運営についても、各学校の実態に応じた創意工夫を図った上で、教職員の健康管理のみならず、児童生徒の健康、学習時間の確保等についても十分に配慮しながら行うように努めること。

(5) 勤務時間外に補習授業等の業務が行われる場合には、児童生徒や教職員の健康にも十分に配慮するような実施計画の下で行うようにすること。

5 年次休暇の使用については、府人事委員会勧告の中で年次休暇の使用促進について引き続き関係者のより一層の努力が必要であると報告されていることを踏まえ、管理職員は、授業等の学校教育活動への影響にも留意しつつ、学校休業日等の適切な時期における年次休暇の集中消化等を含め、年間を通じた教職員の年次休暇の計画的な使用の促進に努めること。

6 管理職員は、常に教職員の時間外勤務の状況や健康状態の把握に努め、率先して時間外勤務の縮減についての意識の啓発を行い、学校の実情に応じた具体的な対応策の推進に努めること。

7 管理職員は、所属職員の適正な勤務時間管理の徹底を図り、かりそめにも府民の誤解を招くような勤務形態が生じることのないようにすること。