2011年6月21日火曜日

「そんなん忙しいて行けへん」と言う返事だったが


                            山城貞治(みなさんへの通信15)

 「すぐにもできる労働安全衛生九つの緊急提案  1997年10月18日」を出して、多くの反響があった。
 現在でも、繰り返し職場で、「九つの緊急提案」をみんなに知らせている職場がある。
 そのたびに、「いいこと言ってくれた。」「病院に行ったら早く来たらか、治りが早くなる言われた」との報告がある。
 もう何十年も前に知らせたのに、と思うけれど労働安全衛生は永くやらないといけないなあって話している教職員もいる。
 もちろん、「すぐにもできる労働安全衛生九つの緊急提案 」に対して反対意見もあったが、それは内容ではなかった。それは後で述べる。
 まず、二つの意見を知らせたい。

転勤した教職員が死亡したことがあったので……

 校長に何言うても聞かないから、あきらめる傾向があるけれど、労働安全衛生問題は他でできんことがあってもやらないと。
 転勤した教職員が死亡したことがあったので……

 いのちと健康の問題、労働安全衛生問題は職場に体制を作ってやらなあかん……と思うことがあっても、踏ん切りがついていないので今日はこんどこそとやって来た。
 養護教諭にも協力してもらったり、病気の人にも協力してもらったりしてやってゆきたい。

あんたたちが考えなさい わしゃしらん と校長

 数年前に喫煙問題に取り組んだ。職員室で愛煙家が喫煙しているので、管理職に「喫煙室を設けよ!」と言うたら、「あんたたちが考えなさい。わしゃしらん。」と言われて、ビニールで分煙室を作ったんです。
 でも風が吹くと煙は流れるし、漏れるし。
 のどが痛くなる人や鼻の悪い人がいて悩んでいることが分かった。
 そこで、最近喫煙者に呼びかけた。忙しかったけど、10人中3人が集ってくれた。
 「校長は換気扇をつけると言ってるけどどうしようか」と。

押しつけられた仕事と好きな仕事がゴッチャ

 愛煙家の要求もあるので……気持ちよく過ごせるように「分煙室を設けるように」と話し合いをすすめている。
「日本一の高校を」と校長が言う。
 教師も展示会に向けて、11時過ぎまで学校に残って仕事をしている。ケガをした人もいる。
 「押しつけられた仕事と好きな仕事がゴッチャ」になっている労働実態がある。
検査行ったらどうや と何度もすすめらてたのにとお母さん
                             
「そんなん忙しいて行けへん」と言う返事だったが

 ほぼ3週間前にうちの職場から現職死亡が1名でたんですけど……先日おまいりに行ったとき、お母さんが、こうおっしゃられました。

 「ちょうど1年前の10月。調子が悪いんや。いつもお酒を飲むのに、最近お酒がすすめへん。」

と言うので、お母さんが、
「検査行ったらどうや」

と何度もすすめらてたそうです。すると、

「そんなん忙しいて行けへん」

と言う返事だったそうです。 

学期末には戻ってきます と言ったのに
   それ以降教壇に立たれることはなかった


 結局、体調が悪くなってから3ヶ月ぐらいで検査されたんです。
 12月の期末考査が終わった時に
「明日からちょっと検査で入院しますけれど、学期末には戻ってきますので、あとよろしく頼みます」と。
 それ以降教壇に立たれることはなかった。
 検査の結果は進行性の癌。
 本人も告知されていて、その後たびたび職場に、顔をお見せになって現在の病状を話しておられました。

余命ないから子どもたちとすごす時間を と

 自分でも、余命あまりないということを実感されていて、その後休職に入られて……。
 家のことは奥さんにまかせっきりだったので……取り戻すということで3人のお子さんといろいろ話をしたり、出かけたりして……亡くなられた。

不注意論ではなく
 病院に行くひまがなかったのが実態 

クラブでも京都では上位でがんばってこられた先生だし、職場でも保健部長として先頭に立ってがんばった先生。

大切な 「ちょっと悪いなと思ったら医者にかかる」

 まず、提起されているように「ちょっと悪いなと思ったら医者にかかる」ということが大切。
 1年1回の健康診断があるが、1年1回では、ひっかからない、わからへん場合もある。
 私も医者に行っているけど医者は、
「半日やそこらでわからへんで。最低一泊して検査してもらわんと」
と言うことで検査をすすめられているけど、忙しくてなかなか行けない。
 身近なところで亡くなられた先生をみて、家族の悲しまられていることを見て……やはり、自分のいのち、家族のことを考えて割り切って病院に行かんと。

 最後に命を落とすことにつながることを痛感しました。