「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その2) 定期健康診断について(その1)
政策「労働安全衛生対策について」では、
まず第一に
(3)教職員の健康診断等については、その目的趣旨を教職員に徹底させるよう要求する。
ということを明らかにした。
それは、それまで教職員の定期健康診断は、生徒の定期健康診断と同時期に行われていた。
すなわち、4月からはじまり6月まで実施報告という超多忙な日々の中で生徒の健康責任ばかりか、教職員の健康まで養護教諭の責任とされていた。
ところが、このことが長く京教組養護教員部で問題にされてきた。
とくに、学校教育法で
「養護教諭は、児童の養護をつかさどる。」
とされていたのに、教職員の健康にまで養護教諭が責任を持たされている。
生徒の健康診断票や事後指導なら養護教諭が主として行う仕事ととも言える。
だが、教職員の健康診断票や事後指導までとなると、養護教諭の仕事とは言えないし、責任のとりようが全く違う。
教職員の健康問題は本来管理職が対応すべきものである。
として、生徒と同時期に行われる教職員の定期健康診断を管理職の責任で実施させる取り組みもされていた。
だが、教職員の健康悪化が日増しに強まる。これを黙って見ていていいのだろうか。また教職員の健康診断項目が極端に増えて来た。
どう考えたらいいのだろうか、と京教組養護教員部で話し合いが積み重ねられ、1990年に細川汀先生と垰田和史先生に講演をしてもらい、学習してそれを「教職員のための労働安全衛生入門」として、自主出版したことがことのはじまりだった。
ここで、以下のように細川汀氏は、明確に学校保健法と労働安全衛生法の違いを述べている。
しかし、他府県ではこの理解が出来ていなかったため法解釈をはじめ「事実関係」を調べないで、教職員には労働安全衛生法が適用されないと「解釈」され、思い込まれていたようである。
細川汀氏は、1990年7月8日に次のように述べている。、
わかりやすくいえば
「子どもにうつるから」などという
目的の学校保健法の健康診断
HOSOKAWA ADVICE
「学校保健法」(当時)の目的は何か、
「学校教育の円滑な実施、その成果の確保のために」
ということになっています。
結核の先生がいたら子どもにうつる、だから結核の管理をしなければいけない。
こういうような意味での、特別に学校の先生だけ「労働安全衛生法」と違った「学校保健法」という法律で健康診断をやってきました。
学校の先生以外にたとえば飲食店なんかの人ですと、飲食店の人が食中毒や伝染病をおこしてお客さんにうつってはいけないということで検便をしなければならないという法律があります。
美容師とか理容師の方も、皮膚病がお客さんにうつってはいけないということで、美・理容師の健康診断の法律があるんです。
それと同じようなかたちで先生方の場合つくられていました。
労働安全衛生法の健康診断項目が
多くなり 学校保健に矛盾
本来やはり「労働者の安全と健康のための健康診断」ではなかったわけです。
ところが、今まで、しかし、それでも「学校保健法」の健康診断の項目の方が「労働安全衛生法」の項目よりもよかったので、あまり問題がおきなかったと言われているわけです。
ところが、今回「労働安全衛生法」の方の項目が増えてきたので混乱がおきてきています。
労働安全衛生法の健康診断と
学校保健法の職員の健康診断は
法の趣旨が異なると労働省
1989(平成元)年8月22日の「事務連絡」による労働省の解釈によりますと、「学校保健法に基づく職員の健康診断について」という項目で、
「労働安全衛生法に基づく健康診断と学校保健法に基づく職員の健康診断とは、法の趣旨が異なるものであり、それぞれの法の趣旨に則しておこなわれるものである」。
と指導しています。
だから、本来は教職員には労働安全衛生法と学校保健法に基づくという、二つの健康診断をやらなければいけない。
「しかしながら、健康診断を重ねて実施する必要はないので、重複する項目についてはその限りにおいて労働安全衛生法に基づく健康診断の項目として取り扱って差し支えないこと」
ということになっています。
そして「学校保健法」の方も同じように「労働安全衛生法」の項目に沿って改正をしたわけです。
本来はやはり「これは『労働安全衛生法』の精神に基づいておこなう健康診断だ」というように理解していただいていいわけです。
教職員の定期健康診断は
労働安全衛生法に基づき行われている
つまり、子どもの健康診断のついでに、先生をどっかへ集めて健康診断をするということではなく、「先生という労働者の健康診断」ということでやらなければいけない、という意味です。
法理解が出来ず ふらつく府教委を幾度も正す
以上のことを踏まえ、「教職員の健康診断等については、その目的趣旨を教職員に徹底させる」に府教委にさらに徹底させ、教職員の定期健康診断は、養護教諭の仕事ではなく事業者でもある府教委であること。また実施時期を1学期から変更するように改正させた。
しかし、府教委の窓口は、保健体育課でスポーツのルールや勝ち負けには充分な関心をもつ反面、法や規則の理解が弱く、幾度となく訂正を迫らざるを得なかった。
さらに、定期健康診断は、もっと多くの問題を抱えていた。