2011年6月25日土曜日

労働安全衛生 とはなにか 労働安全衛生法の実効をもとめるのが 労働安全衛生でないと明確化


                 山城貞治( みなさんへの通信 15 )

労働安全衛生とは?何を言うのか

  府高労働安全衛生対策委員会では、

「労働安全衛生について わかりやすく説明してほしい」
という意見をうけて各専門家や今までの教職員の意見を考えて、討論をくり返し、文章の推敲を重ねた。
 その結果、次のように「労働安全衛生を理解すればいいのではないか」と検討した。
 そして、みなさんのご意見を聞いた。

労働安全衛生は すべての労働者がいきいきと健康で
文化的な生活が出来るようすることを目的に


 「労働安全衛生とは、
 労働者が労働(仕事)をすることで、ケガや病気や死ぬことなどがないようにするすべてのことをいう。
 労働者を働かせている側や労働の場を提供している側には、労働者が安全で健康で快適な労働が出来るようあらゆる対策を行わなければならない。
 また労働者が労働をすることで、ケガや病気や死ぬなどのことがあった場合は、すべての責任をとらなければならない。
 そして、すべての労働者がいきいきと健康で文化的な生活が出来るようにしなければならない。
 このことが労働安全衛生ということが出来ます。」




では、府立学校の労働安全衛生とは、

「府立学校の労働安全衛生とは、京都府及び京都府教育委員会は、教職員が労働をすることで、ケガや病気や死ぬなどのことがないよう安全で健康で快適な労働が出来るようあらゆる対策を行なわなければならない。
 また、教職員が労働をすることによってケガや病気や死ぬなどのことがあった場合は、すべての責任をとらなければならない。
 そして、教職員がいきいきと健康で文化的な生活が出来るようにしなければならない。」



ということです。

 このことから、もう一度私たち教職員の「いのちと健康と労働」の問題を見直してみましょう。

 大阪職業病対策連絡会機関紙「労働と健康」に、府高労働安全衛生対策委員会アドバイザーの辻村一郎先生は、「いのちと健康を守る課題の位置づけ」と題して以下の文章を書いておられます。

企業は 
 ケガは本人の不注意

 病気は本人の体質 不摂生 気のせい 
 と私傷病として扱い 『労災かくし』をする


 「 労働災害(公務災害)に対して私傷病という用語がある。
 これは業務と関係のない、本人の『責任』で発生したケガや病気を私傷病としている。

 また、企業はケガは本人の不注意、病気は本人の体質、不摂生、気のせい、といい私傷病として扱い、『労災かくし』をする傾向が長年にわたって根強くつづいている。

 勇気ある労働者が告発しないかぎり労災はかくされたままになっているのである。
 しかし、現実には、労働者の労働と生活をみると労働者の病気は職場での労働条件、作業環境やとくに企業の健康管理に関係のないものはない。

『それ自体としては職業性の要因をまったくもっていない、いろいろな病気でも労働時間が長かったり、労働負担が重いことによって発症したり増悪したりするものである。
 どんな病気でもその人がおこなっている労働によって負荷・負担がかかって、その負担が限度をこえることによって悪くなる。

私病と思われる病気の中に
 職業病がいっぱい紛れ込んでいる


 また仕事によって健診が受けられなかったり、
治療に行けなかったりすれば(これは非常に多い)新たに発病したり、
急に悪化することは当然のことで、これも企業の健康管理責任になる。

 それどころか一般の病気、いわゆる私病と思われる病気の中に職業病がいっぱい紛れ込んでいる。

 職業性の中毒、たとえばある鉛中毒患者は高血圧症、腎障害、痛風として診断されて長期にわたって私病として処理されてきた。

 また、別の鉛中毒患者は鉛による貧血と胃腸障害を、食事の不摂生や胃潰瘍によるものと診断されてきた例もある。

 じん肺の呼吸困難や動悸を成人病と診断された例。

 職業性ガンでベンジジンは18年~20年後に(退職後も)発病されるから私病扱いされることが少なくない。

 大事なことは、職業病は労働者の運動によって、職業病であることを明らかにして政府によって職業病にさせてきたことである。

 その意味では、私傷病として扱われるものの中には多数の労災・職業病が含まれている、というより労働者のケガや病気は労働と関係しているのである。』(田尻俊一郎「労働者にとって私病とは」【労働と健康】NO62、1984.4.1から参照・引用した)』

「合理化」を認めていては
     労働安全衛生は存在しない

 そこで労働者のいのちと健康を守るためには、『合理化』に反対することを基礎にして労働条件改善・安全衛生確保のとりくみをさけて通れないことは言うまでもない。
 問題は、その課題と位置づけである。」

 以上の文章を「企業を、京都府・京都府教育委員会」に読み替えて、もう一度読み直し、みんなと話し合いましょう。
 
 府高労働安全衛生対策委員会で話されている中にも「私傷病」と言われている中に、どうも「職業病」ではないかと思われることが多くあり、調査を進めています。