2011年6月25日土曜日

労働者を医者に連れて行くことから 労働安全衛生活動は始まります


                             山城貞治( みなさんへの通信 19 )

 府高委員長のもとに、組合の会議では出されない苦情が数人の分会役員から出されていた。

あんなニュース誰も読んでいない
   組合費の無駄遣いはやめるべき


 労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」は、本部のニュースより多い。
3日に一度時には、2日に一度の回数送られてくる。
 あんなニュース誰も読んでいない。
 組合費の無駄遣いはやめるべきだ。
などなどだった。
 そのたび、委員長は
現職死亡が増えていること、
病院に早く行けば助かるのに行けてなかったこと、
本部としてはいのちと健康をなによりも大切にしたい、
と思って労働安全衛生委員の協力をもらって作成してもらっていることなど、
何度も説明したとのこと。

 でも、「紙の無駄だ」「再生紙を使うべきだ」などなど強く言われて、委員長として組合員をまとめる立場から悩んでいるとの話が労働安全衛生委員に相談があった。

再生紙を使わなかった
ニュース「教職員のいのちと健康」のわけ


 たしかに、労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」は、再生紙を使っていなかった。
 京都府や学校では資源の無駄、材木伐採による環境破壊などなどが強調されて、すべて再生紙に変えられていた。
 だが、「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために」を作成するときに、有害物質の研究者に相談したときにこのようなことを言われた。

「黒板のチョークは身体によくないとして、ボードにマジックインキで書く学校がある。でも、あのマジックの揮発性の物質は非常に危険なものと言うことはご存じない先生が多い。」

「再生紙。地球の環境に優しい、と言われているが、再生紙を作るためどれだけ有害物質が使われているか数え切れない程。結局、環境を悪くしている。」

との指摘を受けて、労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」の紙だけは、普通紙で一番安価なものを使っていた。
 当時は、再生紙のほうが高く、書記局で計算してもらうと「教職員のいのちと健康」発行すべての費用は、1円だった。
 委員長からは、
「そんなことは充分、充分分かっているけれど、発行部数を少なくして組合費を始末していることにしないと納得してくれない。」
「悪いけれど、発行部数を減らしてくれないか。」
と労働安全衛生対策委員会に提起があった。
 発行部数を減らしてもたかだか数百円。
 しかも、組合に入っていない教職員にも配っているのに、それならその分私が出すわ。など意見が出たが、委員長の立場と府高の組合役員の意識を考えて、組合分+5~6部を各分会に配布することになった。

読ませて欲しい くれない?ファイルして読んでいる
家で家族で読んでいる


 ところが数日して、少なくない分会から

「教職員のいのちと健康の部数が足らない。 組合に入っていない人に読ませて、と言われて渡したらしたら足らなくなった」

などの意見が出てきた。そのため、各分会ごとに+分を聞いて配布することになった。
 分会役員からクレームがつき、分会に入っていない教職員から
「読ませて欲しい」「くれない?ファイルして読んでいる」「家で家族で読んでいる」
などなどの話が舞い込んできた。
 これには委員長もただただ頭を抱え込むだけだった。
 また、委員長は他の教職員組合から「府高のやっていることは労働安全衛生法を実効あるものにしてないから、労働安全衛生していない。」と何度も繰り返し言われていたことも分かった。

あたりまえのことだから 労働安全衛生ではない
            と言われたけれど


 また、「すぐにもできる労働安全衛生九つの緊急提案 」の

1,からだの調子が悪い、病院にいかんならんなあ、と思っている人、思いながらも病院に行けてない人は、無条件で自分の信頼できる医者・病院に行こう。そして、自分の健康の様子をチエックしよう。また医者から「休むよう」に言われたら必ず休もう。
 2,病気や病気がちの教職員、病気で休んでおられる教職員に対しては、 休んでいる間の職場の保障を府教委や管理職に要求しよう。
3,生理休暇を学習するだけでなく、生理休暇を権利としてとろう。
4,食事を規則正しくとろう。「立ち食い」「チョイ食い」をやめて、せめて休んでゆったりした食事と休憩を確保しよう。このことが出来るように府教委・管理職に要求しよう。トイレに行きたいときは、がまんせず行こう。
5,府高労働安全衛生対策委員会のストレッチを労働時間中にこまめにやろう。
6,もしも教職員が、病気や災害で倒れたり、死亡したりすることがあったら、直ちに事実を調査し府高本部に連絡しよう。
7,府教委や管理職が、教職員の健康状況を悪用したり、他の人に漏らしたり、健康状況を利用して教職員を「おどかしたり」「懐柔したり」「嫌がらせをする」などがあれば、事実と証拠をつかみ、府教委や管理職に直ちに抗議し、闘いをすすめよう。
 8,すべての分会に労働安全衛生担当者を置き、府高労働安全衛生の取り組みを成功させよう。
 9,「教職員の労働安全衛生入門」「安全で健康に働く」をみんなで学習し、意見交流を進め、教職員の労働安全衛生の深い理解を進めよう。

は、「あたりまえのことだから、労働安全衛生ではない」とある大学の労働衛生研究の著名な方からおしかりを受けた。
 このことを永く労働安全衛生研究に携わってきた細川汀に相談する、と以下のような手紙が来た。
 細川汀先生は、ニュース「教職員のいのちと健康」を出す度に、一度も抜けることなく、すべての号に感想や意見やアドバイスなどを簡潔に送ってくださっていた。
 そのため「すぐにもできる労働安全衛生九つの緊急提案 」に対する細川汀先生からの手紙を転載させていただくが、これかは、「HOSOKAWA ADVICE」で時々掲載させていただく。
 
細川汀先生からのアドバイス。
HOSOKAWA ADVICE


 あなたたちの言われるように、労働者を医者に連れて行くことから労働安全衛生活動は始まります。
 活動家の仕事は、職場と労働の常時点検、有訴者やケガ人を医者に連れて行く。病気やケガの原因を調査し、記録することにつきると思います。
 労働安全衛生担当者の会議は、とてもよい討議で一度聞いて見たいものと思いました。
 「在職死亡」については、そのつど十分な討議をして下さい。「押しつけられた仕事と好きな仕事がゴッチャ」「熱が何度なら休めるか」「保健室に休みに来る先生が多い」「妊娠しても立ちづめ」「年休取り消し」「長時間労働に歯止め」「子供用の手洗い場で中腰」など、どれもすぐ取り上げ、各々に具体的な要求づくりを組織できるでしょう。
 「専門家」の人にも現場をじっくり見せて、一緒に考えさせて下さい。お礼まで