2011年7月11日月曜日

公正ではなく 迅速ではなく 申請させない 公務災害補償


山城貞治( みなさんへの通信 32)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その13)


労災補償と基本的に異なった制度にされた公務災害補償

 労災保険と基本的に異なった不公正さが、公務災害補償にはある、と書いた。
 労災保険料は、使用者が保険料を労働基準監督署に支払い、その運用で労災補償が行われている。
 もともと、地方公務員も労災保険制度に組み込まれていた。
 しかし、それが意図的に分離されたとき、使用者であるそれぞれの地方公務組織が、労災保険料と同様に地方公務員災害補償の基金に支払い、それが積み立てられ公務災害補償として支払われるようになった。
 
京都府の地方公務員災害補償基金(以下基金)は、
知事部局等、 教育委員会 、 警察本部、大学(府立大学後に法人)、市町村等などを対象とし、

 「地方公共団体の職員が公務災害又は通勤災害を受けた場合に、受けた災害に対する補償を迅速かつ公正に行い、併せて職員の社会復帰の促進、職員及びその遺族の援護、公務上の災害の防止に関する活動に対する援助などの福祉事業を行うことにより、職員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする地方共同法人で、都道府県及び政令市に支部が設置されています。」

とされている。
 しかし、「補償を迅速」「 公正」「公務上の災害の防止に関する活動に対する援助などの福祉事業」などが行われているとはとうてい考えられない事が多すぎす。

 名ばかり「補償を迅速」「 公正」

 府高の「公務災害不認定」で裁判にいたるまででも非常な時間がかかったし、異議申し立てをしても「今は中央レベルで検討しているから答えようがない」など被災している人に対する応えとはとうてい思えない、高圧的な応えがなされてきた。
 そして、公務災害認定裁判を「基金」に対して起こしたが、この対応は、
「職員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与する」
どころから、真っ向から「否定する」態度に出てきた。
 「基金」が不認定のために使った費用は莫大で、弁護士もわざわざ東京から呼ぶなどの公費の無駄使いを行い、教職員を威圧した。
 そればかりではない、京都府の地方公務員災害補償基金の事務局は、知事の直轄である「京都府人事課」におかれ、知事が直接の責任者の下に置かれている。

教職員の人事を長く行った基金京都府支部長が
      「公正」だと言うが

 京都府高が、公務災害の裁判二例を起こしたとき前後の地方公務員災害補償基金京都府支部長は、元教育長であった。
 かれは、教職員人事を長く行い、教職員課長になり、教育長になった人物で、「天下り」で地方公務員災害補償基金京都府支部長になったとさえ言われていた。
 自分が人事を行い、教職員の健康や安全、生命を守る人事をしていないと教職員から批判され続けてきた人物である。
 この人物が、地方公務員災害補償基金京都府支部長になったから、こころを改めて「公務災害認定」を「補償を迅速」「 公正」「公務上の災害の防止に関する活動に対する援助などの福祉事業」などを行うとはとうてい考えられなかった。
 
府高委員長 「京都府支部長」を変更 
      を強く要求したのは当然のことだった


 そのため府高委員長は、京都府知事及び地方公務員災害補償基金京都府支部にたいして、

「京都府支部長」

を変更し、

「府民や誰が見ても、補償を迅速、 公正、公務上の災害の防止に関する活動に対する援助などの福祉事業などを行い、公務上の災害の防止に関する活動に対する援助などの福祉事業」

などを行うようにすべきだと強く申し入れをした。
 だが、京都府知事及び地方公務員災害補償基金京都府支部は、話すらまともに聞こうとしなかったのである。

労働基準監督署は建前は、「第三者機関」とされた組織

 労災補償(労災保険の適用)の窓口は、いろいろ問題があるが、労働基準監督署で建前は、「第三者機関とされ組織的に「公正さ」を保つようにされている。

 しかし、「基金」は、事業者・使用者が公務災害を認めるかどうかの窓口であり、「審査会」はもうけられているものの直接被災した人々の上級管理職とされ、見かけ上も「第三者機関とされ組織的に「公正さ」を保つようになっていないのである。

 「府教委としては関知できない」
    という府教委のウソと証拠隠滅

 府教委は、地方公務員災害補償基金京都府支部が知事部局の「人事課」に置かれていることを理由にして、「府教委としては関知できない」と言い続けた。
 ところが、府高委員長を先頭に労働安全衛生委員会ののメンバーが詳しく調べた結果、教職員の公務災害については「基金」が書類を見るだけではなく、府教委に聴取したり意見を聞いていいることが判明したが、「証拠書類は処分」していた。
 それは、情報公開で公文書の開示請求が出来ることが可能になる前に行っていた。

府高 労働安全衛生政策は
   行政としても通常感覚で対処できるもの

 また地方公務員災害補償基金京都府支部(審査会を含む)には、公正な判断をさせるために教育委員会関係者を加えないなどをはじめ、不当な制度を改めさせる。
(9)公務災害は、本人申請を妨害することなく、管理職が責任と役割を持って公正に対処させる。
 また公務災害の手続きを簡素化し、認定時期をいたずらにのばすことなく早急に手だてを打つこと、実態に応じて現行法制度にない災害でも救済措置をとることを要求する。民間の労働災害がすでに適用されているケースは、無条件で公務災害を適用すること。
 また公務災害適用後も本人救済、健康管理、リハビリなどの援助措置を行い、府教委としての責任を果たさせる。

だからこそ、以上の労働安全衛生政策は重要な意味を持っていた。

 部分でには改善され、地方公務員災害補償基金京都府支部の高圧的態度は少なくなってきたが、基本的な改善はまだなされていない。

公務災害申請を大量に
  金庫に隠した校長の行動の行方

 近畿のある県では、公務災害申請をした教職員がいつまで待っても「認定の可否」が通知されないので、校長に聞きにい言ったが、「中央の地方公務員災害補償基金本部待ち」と言い続けた。
 実際には校長が、「公務災害申請書」を校長室の金庫に大量に隠して、申請手続きをしていなかったことが発覚した事があった。

 公務災害申請、認定はおよそ「公正」「迅速」な組織になっていないばかりか、申請前に「潰される」事があまりもい多い。