2011年7月6日水曜日

意欲に燃える新採教職員へ 当然の安全衛生教育と健康診断を


山城貞治(みなさんへの通信29)

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その8)


採用前、採用後の健康診断を兼ねているとする府教委

(4)採用時の健康診断についてはその基準を明らかにさせるとともに、過去不採用になった理由を公表させ、その扱いが不当なものであった場合は、採用取り消しなどを改めさせるなどのことを要求する。

 この項目は、二つの意味がある。

 教職員採用試験に合格し、採用が具体的になった時点で、府教委は指定病院で健康診断を受けさせる。
 ところが、この健康診断結果で「不合格」になる教職員がある。
 今はそうではないが過去に「ぜんそく」があることを申し出た教師が不合格になったことなどなどがある。
 安全配慮義務の観点から「採用前健康診断」の目的と合否の基準を明らかにすること。
 教職員募集要項に試験で合格になっても「採用前健康診断」で「不合格」になる場合を具体的に
 明示すべきであるという当然の意味合いが込められていた。

 もう一つは、

労働安全衛生規則 第六章 健康の保持増進のための措置
(雇入時の健康診断)
第四十三条  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について 医師による健康診断を行わなければならない。


を府教委が実施していないという問題があり、「政策」にとりいれたが、府教委の言い分は、「採用前健康診断」と「雇い入れ時の健康診断」を兼ねているから、「採用前健康診断」をしているので、「雇い入れ時の健康診断」はする必要がないと言う主張だった。

 これは、それぞれ健康診断の目的内容が異なる。そのため個別にすべきである。4月1日採用された新任の教職員はすぐ仕事に忙殺される。

「新任研修」で
府教委は 採用者に労働条件明示をキチンと教えていない

労働基準法(労働条件の明示)
第15条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。


労働安全衛生法 第6章 労働者の就業に当たっての措置
(安全衛生教育)
第59条  事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。


とともに「雇入時の健康診断」を行うべきである、とする常識的な提案であった。
 しかし、府教委は201末年頃になって、「雇入時の健康診断」を行うと京都の教職員組合に申し出てきて、京都の教職員組合はこれは要求の成果、と機関紙に掲載されていたが、要求の成果でも何でもない。府教委が違法を改めたにすぎないのである。

新採教職員に安全衛生教育を行った
   ある県では
 新採教職員の退職がゼロになった

 京都の教職員組合は把握していないが、教職員の新採用者が一年以内に半数以上退職する例が全国的にも相次いでいた。
 京都も明るみに出していないが、新採用者の退職数はかなりの数であった。
 意欲に燃えて教職員になったのに教育内容を学習する時間もなく雑多な用事やさまざまな校務に追われて、帰宅するのは11時、12時。
 若い教職員でも体力が持たなくなり「絶望感」に襲われる。
 こんな相談を府高労働安全衛生委員は、幾度も聞いていた。
 だから、労働条件明示、安全衛生教育、採用時健康診断を行うべきであると主張したのである。が、しかし、府教委はいまだにそのことを充分実施していない。
 近畿圏のある教育委員会では、新採用研修で安全衛生研究者に研修を行ってもらったところ、その年の新採用者の退職はゼロになったと大喜びして、毎年実施するようになったとのこと。
 勤務時間や休憩、休日、安全衛生を教えられないまま働かされ若い教職員は少なくない。
 府教委は、採用時健康診断を行ったとするが、このことは、労働安全衛生政策の実現、と書ききれない。