2011年7月26日火曜日

労働組合の使命は、天災・人災を問わず組合員のいのちと健康を守ること。そのためにも、労災・職業病を発生させないための職場づくりを最優先させることが重要。 また、いかに予防を重視するかがキーワード


山城貞治(みなさんへの通信49)

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その29)


  労働安全衛生は、系統的持続的取り組みが必要である。
 一時的問題の解決は、数十年後に働く人々の重大な健康被害を招く。
 山城貞治(みなさんへの通信)の最後に京都府高では、安全衛生委員会や衛生委員会が結果的にどのようになったかを述べる。

ホームページが示す
  労働安全衛生の系統的持続的取り組み

 しかし、15年間の月日は、府高本部の当初の意気込みと系統的持続的取り組みが見失われているようである。
 それは、1997年から2006年までの約10年間の労働安全衛生の取り組みと各種学習資料・テキストや出版社と協力して出版した労働安全衛生などが、京都府高ホームページですべて、バッサリと掲載されていないことでも解る。
 京都府高労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」は、5分冊の合本にして、ひろくみなさんからの意見を聞いてきた。
 だが、それすらもホームページで掲載されていない。
 そこで、このブログをお借りして、山城貞治がその一部を紹介している。

 1998年1月から3回にわたって京都府下の宇治市職労の委員長へのインタビューを労働安全衛生対策委員会ニュース「教職員のいのちと健康」に掲載した。 以下その一部を抜粋して紹介する。

労働基準法と労働安全衛生法との「からみ」が
公務員の場合どうなるのかということが充分とらえ切れていなかった。
 また充分な学習が出来きれていなかったことが最大の理由


宇治市職労が、宇治市当局と労働安全衛生委員会を確立させたのは、1987年。他の自治労連の労働安全衛生の取り組みよりおそかったのでは?

〔宇治市職労委員長〕
 正直言って、おそいんです。
 自治労連として、単組としての取り組むことの要請は、以前からあったんですが。
 もとも宇治市職労は、

「労働組合の使命は、天災・人災を問わず組合員のいのちと健康を守ること。そのためにも、労災・職業病を発生させないための職場づくりを最優先させることが重要。また、いかに予防を重視するかがキーワード。」

という基本的な立場がありましたから。
 労働安全衛生委員会の確立が、おくれたわけを考えると、特に労働基準法と労働安全衛生法との「からみ」が公務員の場合どうなるのかということが充分とらえ切れていなかったし、充分な学習が出来きれていなかったことが最大の理由としてあげられます。
 そのため宇治市職労としては、宇治市当局に労働安全衛生委員会の確立の要求書を出す前に、徹底した組合としての学習をすすめました。

私たち公務員も
 労働基準法や労働安全衛生法の全面適用がある

 民間の労働組合と学習する中で、
「私たち公務員も労働基準法や労働安全衛生法の全面適用があるんだ」
ということを学ぶ度に深めてきました。

 その結果を1987年3月24日に「要求書」として宇治市に提出。
 同年5月8日に宇治市当局から文書による回答があり、職員側委員の専従などで要求が満たされてはいない部分がありましたが、1987年7月に宇治市で労働安全衛生委員会の確立をしました。
当局と文章でのやりとりした理由は

労働安全衛生委員会確立のために文章でのやりとりしたんですか?どんな文章ですか?

〔宇治市職労委員長〕
 次のようなことです。
 私たちは、

「職員の命と健康を守ることと快適な職場環境をつくることは、宇治市当局の重大な責務です。
 そのために、労災・職業病を発生させないことを基本に安全衛生研修・教育の実施、健康診断の実施と管理、自主的な健康づくり、病弱者並びに長期欠勤後の復帰時の業務の軽減対策等の活動を目的とした、労働安全衛生委員会の確立は急務の課題です。」
として、3点の要求をしました。

1,労働安全衛生委員会の確立にあたっては、市職員の労働基準法並びに労働安全衛生法上の運用上の点を勘案し、中央安全衛生委員会の確立と清掃・水道・下水道・保育所・学校・消防の6つの職場安全衛生委員会を確立すること。(注:宇治市職労の場合は、学校の現業職などを組織している。)

宇治市の回答 労働安全衛生法にもとづいて設置する安全衛生委員会は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて整備をはかることを基本としていますが、一方、地方自治体における設置については、組織の規模、任命権者とのからみ等を考慮して判断することが望ましいとの見解も示されているところでもあります。
 今回 宇治市における労働安全衛生管理体制を整備し実施をする時点では先般提案した方法でまいりたいと考えます。

2,労働安全衛生委員会の確立にあたっての管理規定並びに設置要項の制定については、労使協議と合意の下で行うこと。

宇治市の回答 規則の制定については、基本部分の合意が得られた後は、事務的な処理のルールに従い、当局で処理をしたいと考えております。

3,労働安全衛生委員会の活動強化をはかるため、組合側委員について専従職員を配置すること。

宇治市の回答 労働安全衛生法に基づいて実施する内容については、専ら当局責任において行うものとされており、この基本姿勢をふまえて今回実施をしようというものであります。
 従って、担当者も専任職員を配置しており、当面は1名でやりきれるものと考えております。
などです。
 この10年間の闘いの経過の中で、どんな成果を勝ち取ってきたかを説明すると次のようになります。

 宇治市の場合は、安全衛生委員会の中にいくつかの小委員会を設置するというユニークな方法?。
 安全ぬきの衛生委員会では無意味?。

〔宇治市職労委員長〕
 ええそうです。安全衛生委員会のあり方については徹底的に討論しましたから。
 安全ぬきの衛生委員会なんて、無意味ですよ。
 安全対策がなければ、労働安全衛生は意味をなさない。
 労働安全衛生委員会活動では、委員会発足時に社会問題になっていたB型肝炎問題に取り組みました。
 消防職員の救急措置などでB型肝炎にかからないため予防ワクチン接種の実施を当局に迫りました。

 宇治市当局は、「予算がない」。
 安全衛生委員会ではげしく追求・交渉して補正予算を組ませた。
 全員が予防ワクチン接種できるように。
 それと今も引き続き問題にしているアスベスト対策。 

教職員組合がアスベスト対策除去・健康診断などの
   要求を共にしなかったために

 A小学校でアスベストがむき出しになっていた。
 これについて除去する。職員については、アスベストの影響がないかどうかの健康診断を実施させた。

 ところが、宇治久世教組(注:宇治市などを含む教職員組合・現業職などは宇治市職労に組合加入)も教職員組合などは要求しなかったため宇治市職労組合員以外の教職員には、健康診断が実施されなかったという問題を残しました。