2011年7月27日水曜日

静かなる時限爆弾 アスベストをひたすら隠し続けた教育委員会と教職員組合の果たす役割


山城貞治(みなさんへの通信50)

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その30)


 A小学校のアスベスト除去は全面的に行われ、現業職(当時学校用務員・給食調理員)の健康診断が行われ、アスベスト問題に系統的に取り組んでいる、という宇治市職労委員長の話は非常にショッキングだった。

なぜ教職員組合はもっと早く学校にある「静かなる時限爆弾」 アスベスト除去に取り組んでいなかったのか

 さらに、A小学校に多くの組合員がいる教職員組合が、宇治市職労の申し入れにもかからわらずアスベスト問題に取り組まなかったこともさらにショッキングな話であった。
 市職労では、幾度も申し入れたが教職員組合が「共闘」しなかったとのこと。 この両組合は決して対立関係にある組合ではなく、友好関係は強くあったが、市職労の申し入れを取り上げなかったとのこと。

京都府職労から労働安全衛生・労働安全衛生体制の申し入れを京教組執行委員担当が頭から否定した「悲劇」

 これらの事はのちのち知ることになるが、労働安全衛生法成立時以降、京都府の職員の組合である京都府職労が、京教組(当時15支部の連合組合)に労働安全衛生と労働安全衛生体制の申し入れを行っていた。
 窓口で対応した執行委員は、「うちとこはそんなことと関係ありません。」とけんもほろろに断り、執行委員会の議題にもあげていなかったことが解る。
 教職員組合には、あまりにも宇治市職労委員長の話と共通する課題・問題が多い。

労働基準・労働安全衛生を徹底して
 組合学習をすすめていなかった教職員組合

 教職員に労働安全衛生法の「適用」と1996年頃からにわかに主張した京教組は、過去のいきさつ経過をまったく調べもしていなかったのである。

 1972(昭和四十七)年六月労働安全衛生法成立時以降、京都府人事委員会の「監督」に対して、府教委・府立学校管理職は、労働安全衛生体制はもちろん各種労働安全衛生法に基づく措置をしていたとする「虚偽報告」が全面的に明らかになって、府教委は労働安全衛生協議に応じてくる。

 各教育委員会の責任は重大だが、それを追及し、教職員のいのちと健康を守ろうとしなかった教職員組合の問題は肯定出来ないものがある。
 これらの違いはどこにあるのだろうか。
 それは、宇治市職労委員長が明確に述べていた。

委員長は、
 おくれたわけを考えると、特に労働基準法と労働安全衛生法との「からみ」が公務員の場合どうなるのかということが充分とらえ切れていなかったし、充分な学習が出来きれていなかったことが最大の理由としてあげられます。
 そのため宇治市職労としては、宇治市当局に労働安全衛生委員会の確立の要求書を出す前に、徹底した組合としての学習をすすめました。
と述べている。

アスベストの危険と対策が大幅に遅れる

 教職員組合では、この取り組みがほとんどされていなかったために労働安全衛生の取り組みが「おくれた」し、アスベストの危険性について知ろうともしなかったし、聞こうともしなかったと考えられる。
 後日、宇治市職労の取り組んだアスベスト問題時にA小学校に勤務していた教師に聞いたところ「そんなことがあったの」という程度であった。
 宇治市職労の委員長の話を受けて、府高労働安全衛生委員会及び府高本部は府教委に対して府立学校におけるアスベスト使用状況・その除去を申し入れた。
 しかし、「アスベストは府立学校では使われていない」と言う回答で、激しいやりとりになったが、府教委はアスベスト問題では頑なに話し合いに応じなくなった。

隠されていたすベスト問題が表面化、しかし、それでも

2005年を前後して、次の新聞記事が掲載された。

洛東高など3校確認 府立学校の石綿使用 京都府教委 飛散防止へ緊急工事

天井裏にアスベストが吹きつけられているのが確認され、
囲い込み工事が行われる洛東高体育館(京都市山科区安朱)
  

 京都府教委は24日、府立学校などのアスベスト(石綿)使用状況調査で、洛東高(京都市山科区)など府内3校の天井裏などにアスベストが吹きつけられているのを確認したと発表した。いずれも立ち入り禁止にし、飛散防止のため緊急の囲い込み工事を行う。

 府教委は8月1日から10日まで、毒性の強い青石綿などの製造や使用が禁止された1996年度以前に完成したすべての府立学校や府教委所管の施設について、設計図書の点検と職員の目視による調査を行った。
 その結果、▽洛東高の体育館3階天井裏の鉄骨▽久美浜高(京丹後市)の農場コンピューター室天井裏鉄骨▽向日が丘養護学校(長岡京市)の特別教室棟2棟や体育館更衣室、寄宿舎棟食堂の天井-の3校計6カ所でアスベストが吹きつけられているのを確認した。
 府教委はアスベストが見つかった個所の天井を二重にし、外気との接触を遮断する工事に順次着手。工事前後に周辺大気の粉じん濃度調査も行い、飛散状況をチェックする。府教委では「できるだけ早く工事を終え、授業への支障はないようにする」としている。
 府教委はまた、アスベストを含有している可能性がある「ロックウール」(岩綿)については17校3施設、同じく「パーライト」と「バーミキュライト」については64校6施設で使用を確認。アスベストが実際に含有されているか調査した上で対応を検討する。 (京都新聞) 8月24日