2011年7月3日日曜日
教職員 学校医 の熱意は 労働安全衛生を可能にしてきた
山城貞治(みなさんへの通信27)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その6)
医師なし健康診断の違法は改善されたが……
さまざまな問題と事態究明、監視体制の強化、特に教職員の要求の高まりの中で、府教委は、
「(3)教職員の健康診断等については、その目的趣旨を教職員に徹底させるよう要求する。」から『現行の「医師なし健康診断」は、労働安全衛生法違反なので直ちに改めさせる。』を改めるようになる。
ところが、定期健康診断の最初に医者の問診が行われたこと、医師が労働衛生に詳しくなかったこともあり、教職員の評判は悪かった。
ともかく、会ったこともない医師の印が健康診断結果に掲載されるところはなくなったが、女医による問診では、女性教職員から評判がよかった学校もあった。
もともと、医師による健康診断は、労働安全衛生法上は問題があった。
どう乗り越えるのか
中小零細規模の健康を切り捨てる労働安全衛生法の問題
労働安全衛生法の(健康診断)では、
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
となっている。ここでは「事業場」の規定と規模によるが(府高の主張する京都府と京都府教育委員会が事業者であり、府立学校が事業者であるとすれば、常勤の産業医が3名以上必要であった。)
労働安全衛生規則
(産業医及び産業歯科医の職務等) 第十四条 法第十三条第一項 の厚生労働省令で定める事項は、次の事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
一 健康診断及び面接指導等(法第六十六条の八第一項 に規定する面接指導(以下「面接指導」という。)及び法第六十六条の九 に規定する必要な措置をいう。)の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
と中小零細規模の企業では、医師による健康診断と医師による「健康診断及び面接指導」「これらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。」と解される。
ところが、大企業では、産業医による健康診断と健康診断結果による措置になり、系統的な健康指導が行われるようになっている。
労働安全衛生法では、中小零細規模の企業と大企業の扱いは極めて矛盾に満ちたものであることがこのことでも解る。
徹夜をして 教職員の健康診断結果・意見を書く 医者も
そのため府高労働安全衛生対策委員会は、健康診断結果に基づき個々の学校の産業医(府教委は健康管理医と固辞)が、個々の教職員に対して「労働者の健康を保持するための措置に関する」指導をするよう府教委に予算化要求するとともに各校の産業医(府教委は健康管理医と固辞)に時間をかけて理解とおねがいをするように取り組むことを提案した。
1997年の冬早朝。
府高労働安全衛生委員の所に産業医(府教委は健康管理医と固辞)さんが、
「夕べ徹夜しました。これから開業です。」
と教職員100名を超す全教職員への産業医の教職員の「健康を保持するための具体的意見」が書かれた文章を持参され「校長先生に渡してください。」と手渡された。
府教委が、いい加減なことをしていても労働安全衛生を真剣に考える人たちが増えれば、労働安全衛生は前進する例として語り継がれている。
定期健康診断が、生徒の健康診断の間に行われることや、1年間にわたることを改めさせる。
点は幾度となく改めなおさせた。少なくとも年度末にまで定期健康診断を行わせ、産業医(府教委は健康管理医と固辞)の意見に基づき、安全配慮が必要な教職員の不当人事は大きく改めさせてきた。
多くのことを学んだ 兵教組加印支部(当時)の取り組み
さらに
現行健康診断に、腰痛健康診断、けいわん健康診断や乳ガン健康診断、子宮ガン健康診断、肺ガン健康診断、前立腺健康診断などのガン検診を導入させ、ガンの早期発見早期治療などができるように要求する。
ことについては、専門的に健康診断出来る医療機関や学校を会場とする問題があり、兵教組加印支部(当時)の労働安全衛生の取り組みから多く教えていただいた。
そこから、京都府下の病院と連携して、教職員が一定の時期に健康診断を受けて、要精密検査の場合はすぐに検査・治療に入れるようにすべきだという結論を得たが、府教委・組合の役員から「とほうもない意見」と決めつけられた。
しかし、当時の兵教組加印支部は、全国でも優れた労働安全衛生の取り組みをしていた。だから、全教に何度も言ったが何の音沙汰もなかった。
当時の兵教組加印支部の役員の方々から教えてもらった事は今も府高労働安全衛生に息づいてている。
健康診断の日を「健康の日」の教訓から学ぶ
また教職員の健康診断のための「休暇制度」を確立し、教職員の専門医療機関で受診できるようにするよう要求する。
このことは日高教北海道が、教職員の健康診断の日を「健康の日」として学校の授業「休み」にして、教職員全員が健康診断を受けられるようにしたことから学んだ政策であった。
健康診断結果は、個人のプライバシーを堅く守り、原則として1ヶ月以内に受診者全員に通知する。
は、いろいろ曲折はあるものの実現されて来た。
また、
健康診断を受けられなかった教職員が、他校で受診するときは出張扱いとする。
は、「出張扱い」となっていないが、要求した学校では管理職が丁寧な対応をしているところも出てきた。