2011年7月19日火曜日

自然光・見渡せる教室か 閉鎖された教室か 学習効果は






































山城貞治
(みなさんへの通信43)
「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その23)
 教職員の労働が、長時間立ち仕事であることが基本的に改善がなされていないことを改めさせる。
 特に妊娠中や腰痛、頸肩腕障害や病気などの教職員が常時座ることができるようイスなどの配置を教室や教育現場に整備する。
 この場合、職場の労働環境は、大多数の教職員が満足しても不快に感じる教職員があれば、個人差を配慮する。
の課題にふれておきたい。

教職員の精神衛生の深刻さは
 1960年代の京都府議会本会議でも問題にされている


 「教職員の労働が、長時間立ち仕事であることが基本的に改善」という課題は、障害児学校での腰痛・けいわんの発生など問題にされ、腰痛・けいわんなどの特殊健康診断が府立校では、1970年頃から実施され、その公務災害認定をめぐって二つの公務災害認定が裁判で争われ、どちらも認定された。

 これらの腰痛・けいわんなどの発生は、障害児学校に集中的に現れているが、府立高校でも同様のことがある。
 最近、教職員のメンタル面(政策では、精神衛生とあえて表現している。)が問題にされているがそれは、最近にはじまったことでは決しない。
 1960年代の京都府議会本会議でも多数の管理職を含め教職員が「ノイローゼ」になって学校が立ち行かなくなっている、と府議が問題の深刻さを取り上げている事を考えるなら、潜在化していた教職員の精神負担がより表面化することとなったとも考えられる。
  このことについては、学校における人間関係や学校環境、労働環境の影響も多い。

教師が立つ教壇を広げる
    座れるイスもおける取り組み

 A高校では、ある旧棟の建物の教壇が極端に狭いため、授業中に先生が教壇から落ちる。
ひっくり返る、つまずくなどのことがあった。
    
       



 労働安全衛生委員として事務長が調べた結果、教室面積は他の棟より広いが、教壇だけがナゼか狭い、ことが判明。
 教職員の意見も聞いて、改善されたのが上の写真です。
 黒板面側の面の違うところが、(青の線が引かれた部分)教壇がひろげられた部分です。
 
改善されてから、 教職員の中から

「いつ落ちるかという緊張感がなくなって、安心」
「広くなって教壇を自由に歩きやすくなって、リラックス出来るようになった。」
「身体が、安定した感じなどの意見が出されています。」
 さらに、教師が座るイスも置けるスペースもとれるようになった。

閉鎖か、開放化、どちらが学習効果が上がるかの物議

 教室の廊下側のガラスが、授業に集中するためにすべて透明ガラスではなく、磨りガラスにかえられていました。
 ところが、全面磨りガラスになると廊下の向こうにの樹々の移ろいが見えなくなり生徒も教師も非常な「圧迫感」を受けていました。

「閉じ込められたような感じ」
「眼を1ヶ所に集中するとつかれる。」
「教室が廊下の灯りが入らず暗くなる」
「廊下を通人がまったく見えない。」
「不審者がいても分からない。」
「安全上非常見問題がある。いつも周辺が見渡せることが人間にとっては大切ではないのか。」

などの意見が出されました。
 しかし、
「磨りガラスのほうが、廊下を見て授業に集中しない生徒をなくせる。」

などの強固な意見もあったため廊下側の一部を透明ガラスに換えられました。

 この変化は、生徒にも教師にも好評で、特に教師は教壇に立っているため不審者が廊下を歩くとすぐわかる、圧迫した気分も少しは和らぐと言う意見が多数出されました。
 しかし、窓なしのほうが、学習に集中できるという一部の教師の強硬な意見もあり、学校環境・労働環境の改善の難しさがあった「改善」だったと言えます。



  さらに「 職場の労働環境は、大多数の教職員が満足しても不快に感じる教職員があれば、個人差を配慮する。」の「個人差」の問題ものちのち物議を醸すことになる。