2011年7月24日日曜日

危険だから学校の建物から撤去したPCB液が入った安定器を 学校で保管させる府教委の安全対策への無責任な態度が さらに事態を悪化させる


山城貞治(みなさんへの通信48)

「教職員の労働安全衛生問題の政策とその実現のために 第1次討議資料」の実現した事項(1997年から2006年までの約10年間)
 政策「労働安全衛生対策について」はどれだけ実現したのか(その28)


山積みされたPCB液が入った取り外した安定器

A校では、PCB液が入った取り外した安定器は、山積み状態にされ、別の場所に格納されていた。
  そして蛍光灯は増灯され、新型に付け替えられた。
 このことを前後して天井や教室の壁も塗り替えられたが、府高労働安全衛生委員が日常的に校舎の色配置の重要性も考えられ天井と教室の壁面は反射率の一番高い白ではなく、淡いクリーム色に塗り替えられていた。

電気代は安くついたが
PCB液が入った取り外した安定器の処理は

 蛍光灯が入れ替えられて事務部長に聞くと

「たしかに言われた通りでした。蛍光灯増等して電気代がかさむと思っていたけれど、電気代が減っていました。やはり、定期的に蛍光灯を取り替えるほうが、蛍光灯の費用が電気代が減っることで、出費が減ることが分かりました。」

という返事だった。

「でも、あの大量の安定器はどうするの」
「それが、府教委待ちで……」
「早く処理してもらわないと、困るなあ」
「そうなんです」

と言う話になった。

「PCB暴露による健康対策等検討専門家会議」などが
設置された市もあったが
 府教委から謝罪も何のアクションもない

  天井の照明器具が破裂して、安定器内のPCB液が飛び散るという問題が生じた市では、PCBがカネミ油症の原因物質であり、またPCBの一部であるコプラナーPCBがダイオキシン類(PCDDs,PCDFs,及びCo-PCB)に分類されていることから、その健康への影響が心配されたために、教育委員会のもとに「PCB暴露による健康対策等検討専門家会議」が設置された、教育委員会からの謝罪も報道されていた。
  でも、府教委から何の対処もないまま時間だけが経ち、結局、PCB液が入った取り外した安定器を学校が保管することになった。

PCB液が入った取り外した安定器は
頑丈な倉庫が新たに作られ学校で保存
は許されない、と申し入れ

 府高労働安全衛生委員は、「そんな危険なものを学校に保管すること自体危険。除去して安全性を守るべき。」と分会と一緒に校長に申し入れたが、「学校で保管を言われているので」というばかりであった。

 結局、「危険、立入絶対禁止」という頑丈な倉庫が新たに作られ、PCB液が入った取り外した安定器はそこに入れられた。
 校長は、府教委は対処を業者と詰めをしているのでその間保管するだけ、とまたまた府教委を信じ切っているようであった。
 それにしては、頑丈な倉庫が新たに作られたのはなぜか、という問いに答えられないまま時間だけが何年も過ぎ去ったが、他校でも同様な事が行われていることが解り、府高本部と労働安全衛生委員会は「PCB液が入った取り外した安定器」を学校で保管する事は安全に関わることだから撤去を申し入れた。
 でも府教委は何もしなかった。

驚かされた府議会の事実に基づかない答弁と府教委の態度

 PCB液が入った取り外した安定器問題について、その後、数年してある元府高労働安全衛生委員から、2001(平成13)2月京都府議会定例会の議事録を見てびっくりしたとの連絡があった。
 そのやりとりの概要は次の通りであった。

PCB無害化廃棄処理を義務づける法案が提出されたが、
府会議員の質問

府会議員

 発がん性物質であるポリ塩化ビフェニール、いわゆるPCBについてお尋ねいたします。
 PCBは、1968年のカネミ油症事件を契機に1972年から生産・販売が禁止され、それまで絶縁油として使われた使用済み高圧コンデンサーやトランスなどは、厳重な保管が義務づけられたのであります。
 このときは、PCBを無害化する技術がなかったために、このような処置がとられたわけであります。
 最近、PCBを熱処理ではなく科学的に無害化する技術が開発され、これに伴い、今開催中の国会に電力会社など保管事業者に無害化廃棄処理を義務づける法案が提出されたのであります。 これに伴い、都道府県や政令指定都市には、自治体内の事業者がPCB廃棄物を無害化廃棄することを促進する処理計画の策定をすることや、事業者のチェックのために事業者から毎年、保管・処理状況の報告を受け、期間内に処理できない者には立入調査や改善を命令し、さらに罰則もあるとのことであります。

蛍光灯の安定器にも使用されている各学校の状況もの府議の質問に

 そこで、お尋ねいたします。
 この法案の成立を前にして、本府で絶縁体として使用されたPCBが、どれだけあって、また現在保管されている量がどれくらいなのか、紛失しているものがないのか、現在の実態をどのように把握されているのか、お聞かせください。
 あわせて、コンデンサーなど大きな機器だけでなく、蛍光灯の安定器にも使用されており、最近、他府県の学校の教室でこの安定器が破裂し生徒がこれを体に浴びる事故も発生したことから、本府の各学校の状況もお聞かせください。

学校の蛍光灯安定器は、
早期の交換と適切な管理の指導が進められている
   と知事答弁 しかし教育長は答えず

京都府知事

 PCBにつきましては、平成10年度の調査によりまして、京都府内において保管されている高圧トランス、コンデンサーは 8,325台でございまして、15台の紛失を確認したところから、追跡調査を実施し2台を発見するとともに、改めてすべての保管事業所に対し、適正保管について文書指導を行ったところでございます。

 また、学校の蛍光灯安定器につきましては、府教育委員会の調査によりますと、現在、府立学校で180台、公立の幼稚園・小中校で39校約 2,500台が使用されておりまして、これらについては早期の交換と適切な管理の指導が進められているところであります。
 なお、府立学校につきましては、平成13年度早期にすべて対応することとされておりまして、今議会において必要な予算措置をお願いしているところであります。
 いずれにいたしましても、国における法整備の動向なども注視しながら、引き続き適正な保管を指導してまいりたいと考えております。

 安全対策に 事なかれ主義で無責任な府教委の態度

 通常ならば、京都府教育委員会教育長は答弁するはずのものが、何も答弁していない、事に驚かされたばかりか、必要な予算措置とは、頑丈な倉庫をつくる予算であったこと。
 また、府会議員が、PCBを熱処理ではなく科学的に無害化する技術が開発されたことを明らかにしているのに、頑丈な倉庫を作ったままで、安全対策上の問題に対して責任ある行動を取らないで事なかれ主義で無責任な府教委の態度に重大な問題があることが一層判明した。

事業者はやはり京都府・京都府教育委員会であるが

 府高労働安全衛生対策委員会では、

 学校の安全対策などすべてのイニシアチブは知事にあり、府立学校の管理運営を任されている府教委にはいくらでも逃げ道があること。
 従って、府立学校の事業者はやはり京都府・京都府教育委員会である事が鮮明になったこと。
  校長を労働安全衛生法上の事業者とすることは重大な過ちを招くこと。
 以上の事を確認して、危険有害物質の除去を強固にすすめること。
を確認したが、府議会や府議員との連絡は、待ちの姿勢では、何も伝わってこないことを脳裏に焼き付けておかなければならないと知った。

府会議員は
せめて学校の現状を見に来て欲しい、との声も

 労働安全衛生委員の中には、

蛍光灯の安定器の台数が全く違う。一桁少なく言っているのではないか。学校数も。」
「府会議員が学校に来て現状を見るぐらいしても良いのではないか。」
「質問したことが、本当に実行されているのか見に来るぐらいしても良いのに。」

などの不満も出た。

 そのため、府立学校の吹きつけアスベスト問題の問題の時に、A高校の分会役員は現状と対処問題について府会議員に学校の現状を見に来て欲しいと強く要望したが、大々的な報道がされているのに府会議員は誰一人来ることはなかった。